受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

多様な経験を盛り込んだ
バランスの取れた教育を通して
確かな学力と豊かな人間性を形成

早稲田中学校・高等学校 校長 笹倉 和幸 先生

6年かけて完歩する「利根川歩行」
本物志向の芸術鑑賞など行事も多彩

聞き手1
サピックス小学部
事業本部本部長
溝端 宏光

髙宮 勉強以外で多様な経験を積むとなると、行事とクラブ活動が大事になると思います。貴校は学校行事も充実していますね。

笹倉 学校全体で設定している行事以外に、毎学期に1回、学年ごとに企画して行う行事もあります。50年あまりの歴史を誇る行事が「利根川歩行」です。利根川の上流から千葉県銚子市の犬吠埼灯台まで、150kmに及ぶ距離を中高6年かけて完歩します。高3生も参加します。1学期の早いタイミングで行って、最後に犬吠埼で「これから大学進学に向けてがんばるぞ」などと雄たけびを上げるんです(笑)。そのほかの学年行事としては、オペラ鑑賞や歌舞伎鑑賞、演劇鑑賞などもあります。本物でなくては経験として甘くなりますから、オペラ鑑賞では新国立劇場でトップアーティストのステージを見ます。歌舞伎にしてもミュージカルにしても、学校向けのものではなく、中高生で考えられる最高レベルのものを厳選しています。

髙宮 クラブ活動も盛んですね。

笹倉 大きな大会で優勝するような強豪クラブはありませんが、クラブ活動はとても盛んです。早稲田大学の選手がコーチに来てくれるクラブもあり、そういう点は系属校のメリットだと思います。文化部では物理研究部、化学研究部、鉄道研究部などがよくコンクールで入賞しています。また、PCプログラミング部では、在学中に情報技術者の資格を取る生徒も少なくありません。どのクラブも目標に向けてがんばっていますが、運動部も文化部も勝利至上主義ではありません。ですから団体戦に補欠が出る例も珍しくなく、みんなでがんばることを大切にしています。

髙宮 もっと強い生徒が出れば勝てるかもしれないけれど、一緒に練習してきたんだからみんなでがんばろうよ、と。

笹倉 こちらがそうするように指導してきたわけではありませんが、そんな精神がどのクラブにも根づいているように思います。それこそ中高生の健全なクラブ活動ではないでしょうか。

髙宮 そこは「誠の精神」に通じるところがありますね。

24年9月号 さぴあインタビュー/全国版:
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