受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

個々の能力を伸ばす教育で
平和の実現に貢献する人へ
6年間で未来への道筋をつける

栄光学園中学高等学校 校長 柳下 修 先生

イエズス会のネットワークを生かし
世界に視野を広げる取り組みが充実

聞き手1
サピックス小学部
教務本部
遠藤 元

神田 教育の特徴の3点目が「各自の成長段階に応じた各種経験の機会」です。もちろん学習の経験もそうですが、学年が上がれば行事や部活動などでリーダー的な立場を担うといった経験も含まれますね。

柳下 毎年5月に栄光祭(文化祭)がありますが、これは高2生が中心になって全校でつくり上げます。今回は2日間で1万6000人の来場者が集まりました。それだけの方が来てくださることはありがたいですし、それだけの規模のイベントをやり遂げるのは、生徒にとっては大きな経験になります。

遠藤 部活動では、最近は体操部のダブルダッチ班の活躍がめざましいですね。

柳下 この3月にあった大会でも全国優勝を果たしました。実はそのちょうど同じ日に行われた「科学の甲子園」の全国大会でも優勝しました。前年も優勝していたので2連覇です。

キャプションあり
上/天井が高く、広々としたラーニングスペース。生徒たちの学びと憩いの場です
下/広いグラウンドのほか、サッカーコート、野球場、テニスコートなどスポーツ施設が充実

遠藤 そのほか、さまざまな学術系オリンピックでも生徒たちは活躍していますね。

柳下 昨年の国内大会では、「国際数学オリンピック」「国際化学オリンピック」「国際生物学オリンピック」にて本校の生徒が日本代表に選ばれ、それぞれこの7月に世界大会に参加する予定です。

神田 教育の特徴の4点目は「国際社会の一員としての自覚」です。「世界各地の国家や民族の架け橋となり、人々の幸福に寄与できる人となること」を目標とされていますね。

柳下 栄光祭と同じ時期に、フィリピンのイエズス会の高校の生徒たちが本校に来ます。5月にセブ島の高校の生徒が本校の生徒の家にホームステイをして、8月には日本から生徒を派遣するというスタイルで、26年にわたり交流を続けています。参加者は家族ぐるみで仲良くなって、とても良い経験となっています。イエズス会の学校は世界に約900校あり、学校間のコラボレーションも生まれてきていますから、いろいろな形でつながりを広げていきたいと思っています。本校と同じく、イエズス会を母体とする六甲学院と広島学院、上智福岡でも、インドやカンボジアなどの学校と交流しています。将来的にはそれらの学校と一緒に行うようなプログラムが実現できればと考えています。

神田 夏には、イエズス会が設立・経営する名門ボストン・カレッジに行く研修もありますね。大学のモットーでもある「Ever to Excel」(常に卓越)というプログラムに40人の高校生が参加しているとのことですが、どのような内容なのでしょうか。

柳下 アメリカ全土から集まる高校生と一緒に、イエズス会の精神性、リーダーシップ、奉仕、教育を経験するものです。アメリカの高校生向けの内容なので、日本の高校生にとっては難しいと思います。5日間のプログラムの初めに簡単な導きの講義があって、それに合わせてワークショップ形式で進むのですが、日本語でも自分を振り返って深い話をするのは容易ではありません。それを英語でやるわけですから、英語が多少できるだけでは通用しないと思います。

神田 それだけに、とても貴重な経験になるのではないでしょうか。

24年7月号 さぴあインタビュー/全国版:
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