受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

禅の精神に基づく人間教育と
体験重視の探究学習を柱に
真のグローバルリーダーを養成

世田谷学園中学校・高等学校 校長 山本 慈訓 先生

修学旅行も海外研修も
コースの特色を生かした多彩な内容

キャプションあり
上/図書館の蔵書数は約2万冊。自習スペースも充実しています
下/三心館(食堂)は約300席あり、全学年が利用可能。栄養士によるメニューはどれもおいしいと好評です

神田 中3の修学旅行の行き先も本科コースと理数コースとでは違うそうですね。

山本 昨年、コースに分かれての初めての修学旅行がありました。いずれも基本は平和学習で、本科コースは沖縄に行き、石垣島や西表島で、シュノーケリングとカヌーを体験しました。理数コースは鹿児島に行き、知覧特攻平和会館やJAXAの種子島宇宙センター、屋久島の白谷雲水峡などを見て学んできました。

岡本 高1の海外研修ではカナダに行きますが、これも本科コースと理数コースとでは行き先も内容も異なりますね。

山本 40年近くお付き合いをしている学校がカナダ西海岸のビクトリア市にあって、以前はホームステイをさせていただいていましたが、新型コロナの関係で昨年は実現できず、ビクトリア大学の寮に6泊しました。今年はホームステイができます。それが本科コースで、理数コースの生徒は東部のトロント大学に通いながら英語のレッスンを受け、理数系の科目も学べるプログラムを組んでいます。

神田 中3の希望者を対象としたシンガポールの文化研修もあります。シンガポールは多民族国家ですから、さまざまな文化に接し、異なる民族が共に暮らす大切さも実感できますね。

山本 シンガポールでもホームステイを体験します。新型コロナによる制限が緩和され、昨年初めて行くことができました。今後さらに充実させていきたいと考えています。

岡本 年間を通じてさまざまな行事がありますが、なんといっても盛り上がるのは9月の獅子児祭(文化祭)ではないでしょうか。

山本 体育祭もそうですが、獅子児祭は特に、生徒の主体性・協働性を発揮する絶好の機会になっています。主体性や協働性は教えて育つものではなく、自分から発揮して、自分のなかで育てていくものです。とはいえ、いきなり「君たちの主体性に任せる」と言っても、生徒たちは戸惑ってしまいます。そこで、中学の間はある程度の枠を設け、中1はアートフェスティバル、中2は合唱コンクール、中3は表現活動と決めています。

 このうち中1のアートフェスティバルでは、クラスごとに有名な絵画のなかから一つを選び、人数分のピースに分割して、クラスで決めた素材でそれぞれが切り貼りして一枚の絵を仕上げていきます。一人だけが一生懸命にやっても完成しませんし、誰か一人が欠けても完成しません。全体として統一感のある絵に仕上げるにはクラス全員の理解と工夫が必要です。一人ひとりが主体性を持って協働していくというプロセスを、絵の制作を通じて経験できます。

24年5月号 さぴあインタビュー/全国版:
目次|4|

ページトップ このページTopへ