さぴあインタビュー/全国版
人と人との交わりを軸に
豊かな学力と人間力を育み
希望の未来へと送り出す
芝中学校・高等学校 校長 武藤 道郎 先生
へこたれてもいい
中高には回復プログラムがある
校長 武藤 道郎 先生
神田 今のお話は、貴校の基本理念の一つである「共生」につながりますね。それを日々、実行していらっしゃるのだと思いました。
武藤 「共生」とは、今あるすべての命の連綿としたつながりを大切にして、そのなかにあるみずからを自覚することです。縁があって本校に入ってきた生徒たちですが、なかにはつまずいたり心が折れたりする生徒もいます。でも挫折を経験した人間は、その記憶をしっかり持っているので、「自分はこうなるとくじけてしまう、だからそうならないようにしよう」と学習します。逆に、挫折を知らない人が、大学に入ってから、あるいは社会に出てからつまずくと、回復のプログラムがないのでなかなか立ち直るのが難しいと思います。本校にはいろいろな教員がいるので、会って話を聞いて「先生はこう思うよ」なんて言います。それを生徒が受け止めて「〇〇先生にこう言われました」と自分から話せるようになると、変わるんです。教員も大変ですが、「その生徒に合った最も適切なことばを真剣に考えてプレゼントしてほしい」と伝えています。
神田 まさに「共生」の精神ですね。今、世界でいちばん求められているのは平和です。平和を築くために絶対になくてはならないのが「共生」だと思います。それに気づくのは、やはりこの多感な中等教育の時期でしょう。
福泉 校訓の「遵法自治」にはどのような意味があるのでしょうか。
武藤 世界・自然・人間の心理と道理に従って生きることにより、自分も輝きを発して自主自律の態度で自分を治めることができるということです。「遵法自治」は海旭先生が示されたもので、先生は「諸君は将来、日本の中堅になる人だから、心身共にしっかり修行しなければならない」とおっしゃっていました。つまり「高みをめざして研鑽を積め」ということです。中学生は、自分の伸びしろいっぱいにがんばること、高校生はその伸びしろを広げていくことが大切です。日本は狭い土地に高い建物を建てていきますが、狭い土地に高い建物を建てるのではなく、自分の土地を広げられるようがんばってほしいのです。そうすれば高等教育に進んだときには、この広げた土地にどんな建物を建てようか、この土地をどう活用しようか、ということが考えられます。中高6年間は、狭い土地のまま上に積んでいくのではなく、土地を広げていく時期なのです。
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