さぴあインタビュー/全国版
卓越した体験学習を軸に
グローバルスタンダードの
「学力」と「人間力」を育成
海城中学高等学校 校長 大迫 弘和 先生
グローバルスタンダードの教育が
自然に海外大学への進学につながる
校長 大迫 弘和 先生
溝端 先生のお話を具体的に形にするとしたら、海城学園にIBを導入するということになってくるのでしょうか。
大迫 校長就任以来、各学年の保護者会に出席し、保護者の方々の期待を感じながらごあいさつする機会がたくさんありました。そこでわたしは、海城とIBとを結びつけることはないと明言しました。ただわたしがIBに携わるなかで形成してきた教育観や国際標準についての考え方は、海城の発展のために生かせると思っています。グローバルスタンダードの教育については、本校ではわたしが種をまく必要はありません。これまで積み重ねられてきた教育により、すでにその芽が出ています。それが美しい花を咲かせるような肥やしを入れるのが、わたしの役目だと思っています。
神田 実際、貴校はこれまで海外のトップレベルの大学に卒業生を送り出しています。それをさらに増やしていくために力を尽くすということになりますか。
大迫 増やしていくというより、自然にそうなると思いますし、そのための環境をつくることが大事です。
上/全面人工芝のグラウンド。隣接するオムニコートも含めて、1万3000㎡の広さがあります
下/新理科館「Science Center」には、各分野の特徴を生かした九つの実験室がそろっています
溝端 海外大学に進学する際に不可欠なのが語学力ですが、英語教育にはどのような特徴がありますか。
大迫 本校では、2015~16年にICTのインフラ整備が完了しています。全教室に電子黒板機能付きの可動式プロジェクターを導入し、全員の持つデバイスとつなげるようになりました。それを真っ先に授業に生かしたのが英語科の先生方です。さらに発展させる形で、現在は若手の先生方が知恵を出し合って、ICTと組み合わせた興味深いプログラムの開発に取り組んでいます。もう少しすると発表できると思いますが、そうしたことができる先生方が本校にはそろっています。
神田 楽しみですね。地球の裏側の人たちとすぐにコミュニケーションが取れるようになったわけですから、特に英語はさまざまな活用が考えられますね。
大迫 わたし自身は先生方に新たな負担をかけようとは思っていません。ただ、すでにやっていることに対しての意味や価値を意識的に構築していってほしいと思っています。「新しい学力」「新しい人間力」もそうです。この教育目標を掲げた時期と今とでは状況が変わっていますから、今それをやる意味をはっきりさせて、価値を確認してくことが必要です。そうすることで海城の教育全体が一つの生命体として、より強靭なものになっていくでしょう。たとえば、多様性教育といっても、多様な人々とコンタクトできても、それだけで終わったのでは意味がありません。人と人とが受容し合うとはどういうことなのか、授業だけでなく学校全体の活動のなかで考えなくてはなりません。活動の一つひとつが意味を持つような、全体的な構想が必要です。
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