受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

早稲田スピリットの下、
知的好奇心をかき立てる
発展的な学びを追究

早稲田大学高等学院中学部 学院長 武沢 護 先生

大学の教旨を反映させた思い
「すこやかに、しなやかに、たくましく」

聞き手1
SAPIX YOZEMI GROUP
共同代表
髙宮 敏郎

髙宮 武沢先生は高校の数学の教員として長く勤務されていたと伺いました。公立の学校で教鞭を執られた経験もあるそうですが、どのような経緯で早大学院に来られたのですか。

武沢 わたしは公立高校から早稲田大学・大学院と進み、卒業してから神奈川の県立高校に勤めました。本校に来たのは2003年で、数学科専任教員として勤務することになりました。附属校は、入学すれば基本的にそのまま大学に進学できます。そういう環境のなかで、子どもたちにどう刺激を与えながら、段階に応じて教育を行っていくかということが、ずっと頭の中にありました。早稲田大学高等学院は古い歴史がありますが、中学部はまだ新参者ですから、学院長になったのを機に、早稲田の一貫教育のコンセプトを練り直したいと思っています。

髙宮 早稲田大学の最初の附属校として設置された学校ですが、中学部の開設はずっと後の2010(平成22)年ですね。

武沢 本校の歴史は1920(大正9)年設置の大学予科に始まります。戦後の学制改革で、新制高校として早稲田大学がある戸山町(新宿区)でスタートし、1956(昭和31)年にこの石神井(練馬区)に移転しました。そして2010年に、早稲田大学初の附属中学校として早稲田大学高等学院中学部が開校しました。

髙宮 大学予科が前身だからか、早大学院というと、わたしは「大学の一部」というイメージがあります。生徒たちにもそういう雰囲気がある気がします。早大学院の教育は、もともと〝高等教育寄り〟ですよね。これをそのまま中学に下ろすことはできませんから、一貫校として新しいコンセプトが必要だということですね。

武沢 早稲田大学には「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」という三つの教旨があり、これが学ぶ者にとって大切な早稲田スピリットになっています。この三つを学院流に解釈すると、「学問の独立」とは知的好奇心を旺盛にして、みずから学ぶこと、「学問の活用」はその学びを生かして、創造的な課題解決に勇気を持って挑戦すること、「模範国民の造就」は体を鍛え、個性を磨き、社会に貢献すること、だといえるでしょう。これこそが、早稲田の一貫教育がめざすものです。これをわたしは易しく「すこやかに、しなやかに、そしてたくましく」ということばで表しました。

 早稲田大学総長の田中愛治先生は、早稲田の人間が持つべき資質を「たくましい知性」「しなやかな感性」ということばで表現されています。とても良いことばだと思います。本校には中学生・高校生が在学していますから、心と体の健康も大切と考え、「すこやか」を加えました。大学からは専門教育に入りますが、高校までは「すこやか」も含めた三つの精神で教養教育を行っていくという考えです。

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約1500席の講堂。卒業式などの学校行事のほか、生徒の課外活動や成果発表でも利用されます

21年7月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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