受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

ドルトン東京学園中等部

2025年10月27日(月)

「ドルトンプラン」を実践し、生徒の自主性・主体性・問題解決能力を育てる

 2019年に東京都調布市に開校したドルトン東京学園中等部・高等部は、アメリカの教育家ヘレン・パーカーストが1908年に提唱した「ドルトンプラン」を教育の基盤としています。「自由」と「協働」という二つの原理に基づき、生徒が未来を生き抜く力を育てており、2025年3月、初めての卒業生を送り出しました。

 この日の説明会であいさつに立った校長の安居長敏先生は、「生徒一人ひとりに個性があり、育ちもやりたいことも違うのに、同じことを一斉に与えることに意味があるのでしょうか。それよりも大事なのは、一学年の人数を少なくして、生徒一人ひとりと対話する時間を増やし、生徒自身の考えや、これまでどんな経緯で学んできたか、将来どうすればよいかをしっかり捉えたうえで、その成長と学びを支えていくことではないでしょうか。わたしたちはそう考えています」と話しました。

 続いて、教頭の貝沼俊成先生が学校の概要について紹介しました。同校で実践されているドルトンプランは、「ハウス(House)」「アサインメント(Assignment)」「ラボラトリー(Laboratory)」の三つの柱で構成されています。

 一つ目の「ハウス」は、中高6学年を縦割りにしたコミュニティーです。同校では、他校のような同学年の生徒により編成されたクラスはありません。中1から高3まで6学年の生徒が1学年4~5人ずつ、合計25人程度集まって、学校生活を共に過ごします。通常の授業は、同学年の生徒で構成する学習グループ「Lesson Group(LG)」単位で行いますが、それ以外の活動は「スモールハウス」と呼ばれる異学年混合の約25名で行動します。体育祭や文化祭などの行事は「ビッグハウス」と呼ばれる全校生徒を学校名「D・A・L・T・O・N」の文字のいずれかを付けた六つのグループに分けて行います。中1・2にはハウス制度に慣れるための学年担任が配置され、手厚いサポートがなされています。

 二つ目の「アサインメント」は、生徒の計画性を育てる「学びの羅針盤」です。そこには学習の目的や到達目標、スケジュール、方法と手順、さまざまな課題が具体的に示されています。そのため、生徒は自分が学んでいることの意義や目的を理解し、自分に合った学習計画を立てることができます。なお、同校では定期テストはなく、代わりに、各科目の単元内で、必要に応じて小テストやまとめテストを実施しています。

 三つ目の「ラボラトリー」は、自由に学ぶマインドやスキルを身につけ、研究室で学ぶかのように、みずからの課題を探究する時間です。学年ごとのテーマに取り組む「基礎ラボ」と、個人の興味・関心を広げ深める「探究ラボ」とがあります。

 英語の授業は、帰国生や、それと同等レベルの語学力を持つ生徒が対象の「アカデミック」、中上級レベルの「アドバンスト」、初心者向けの「スタンダード」の3クラスに分け、少人数制で実施しています。アカデミッククラスはネイティブ教員1名によるオールイングリッシュで、ほかの2クラスは日本人とネイティブ教員によるチームティーチングで行っています。

 また、海外研修として中3のオーストラリア研修、高1のアジア研修を実施しています。希望制プログラムとしてはシリコンバレー研修や韓国国際交流などがあり、中3ではアイルランドまたはアメリカへのターム留学が可能です。高1中心の交換留学の機会も設けられています。

 こうした教育の積み重ねにより、第1期生からは京都大学医学部や東北大学工学部などの国公立大学、早慶をはじめとする最難関私立大学への現役合格者が出ています。

 最後に、入試広報室長の松尾鉄也先生が2026年度入試について説明しました。それによると、一般入試のうち、2月1日午前の4科型と2科(英語資格)型、2日午前の4科型、英語型、思考表現型はこれまで同様に実施されますが、2025年度に実施された1日午後の特待型入試と4日午前の入試は廃止されるとのことです。代わって、1日午後に国語・算数の2科型、2日午後に理科・算数の2科型が新設されます。詳細はHP掲載の最新の募集要項をご確認ください。

イメージ写真 式典のときは標準服の正装で臨みますが、ふだんの授業の日は私服での登校が認められています。生徒たちは互いを尊重しながら、共に学びを深めています

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