受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

日本工業大学駒場中学校

2025年7月17日(木)

「ものづくり」の精神を受け継ぎ、一人ひとりの人柄を最大限に伸ばす教育をめざす

 日本工業大学駒場中学校・高等学校は、1907年創立の東京工科学校を前身とする中高一貫校です。当初は工業教育に特化していましたが、2008年に現在の校名に改め、中学校を共学化するとともに、高校に普通科を設置しました。それ以降、時代を見据えた改革を進め、着実に大学進学実績を伸ばしています。そして、2021年の高1からは高校を普通科のみとして、さらなる飛躍をめざしています。

 この日の説明会では、最初に校長の大塚勝之先生があいさつに立ち、ライト兄弟の初飛行からわずか7年後の1910年に、同校の実習工場で国産初の飛行機が組み立てられたことを紹介しました。また、東京工業高校時代の生徒たちが製作した60台以上ものミニ蒸気機関車は現在もオープンキャンパスや全国のイベントなどに貸し出され、そのメンテナンスは「ものつくり部SL班」が担っているそうです。大塚先生は「真面目にこつこつと工夫することの大切さ、努力が形になったときの喜び、そして長年培ってきた『ものつくり教育』の気概は、普通科のみの学校となってからも継承していきます」と語りました。

 一方、新教育体制の中核となっているのが「国語教育」「学習指導」「キャリア教育・進路指導」「理数教育」「ものつくり教育」「グローバル教育」の6本の柱から成る「日駒新教育ハニカム構想」です。大塚先生は「希望の進路を実現するための学力、ICT(情報通信技術)を使いこなす力、そして、グローバル社会で活躍するために不可欠な英語力・教養・発信力を養うのは当然です。その一方で、118年間にわたり本校が受け継いできた『人柄を育てる教育』は大切に守っていきます。『まじめでなければいい教育はできない』という精神は、教員全員が肝に銘じています」と結びました。

 教育内容については、入試広報副主任の菊地健太先生が説明しました。同校では「ファイトノート」「朝テスト」「放課後補習」を連携させ、家庭学習の習慣化と基礎学力の養成に力を注いでいます。中1・2で取り組む「ファイトノート」は、漢字・百人一首などの学習課題と、一日の振り返りや放課後のタイムスケジュールなどを記す日誌が一つになった特製のノートです。生徒は毎朝これを提出し、担任・副担任は生徒一人ひとりが書いた内容を確認して、生徒全員の学校での様子や心の状態を把握しているそうです。「朝テスト」は通常、国語・数学・英語の3教科について週1回ずつ実施されますが、定期試験2週間前からは理科・社会も加わり5教科になります。試験前の朝テストで合格基準点に届かなかった生徒は、放課後の補習によって不安材料を取り除き、定期試験に臨む仕組みです。

 一方、技術家庭の授業は週1回、2コマ連続で行われます。そこでは、高校にかつてあった工業科の本格的な設備を活用して、自転車のパンク修理、陶芸、文鎮づくりなどを体験します。学校行事も多彩で、中1の4月に実施される「フレッシュマンキャンプ」や大学の学びを体験する「日本工業大学見学会」、中3全員が参加する「台湾研修旅行」、中2・3の希望者を対象とする「オーストラリア短期留学」のほか、日駒祭(文化祭)、体育祭、百人一首大会などがあり、生徒一人ひとりの個性を引き出す機会となっています。

 このほか、高校生を対象とした大学進学支援プログラム「光風塾」が設置されているのも特色です。そこでは、日本工業大学の教授が塾頭となり、東大生を含む現役大学生がサポート役を務め、難関大学受験に向けて戦略的な授業が展開されています。2022年には、中2・3を対象とした「光風塾ジュニア」も開設され、週2回、放課後2時間の特別授業が行われるようになりました。「光風塾」「光風塾ジュニア」とも選抜制で、受講希望者は年数回実施される選抜試験に合格する必要があります。

イメージ写真 クラブの数は愛好会も含め48団体。中央部が開放的な吹き抜け構造となっている校舎には、2021年にリニューアルされた図書館、屋上庭園、女子ラウンジなど居心地の良いスペースが多く設けられています

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