受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京学芸大学附属国際中等教育学校

2025年7月30日(水)

概念理解を育む国際的な探究型教育を実践し、英語で議論ができる人材を育成する

 東京学芸大学附属国際中等教育学校は、東京学芸大学の附属校のなかで唯一の中高一貫校です。多様なバックグラウンドを持つ生徒が学んでおり、今年7月時点で、53の国と地域からの帰国生や外国籍の生徒が在籍しています。半期ごとに帰国生や外国籍の生徒が編入してくるため、6年生(高3)次には、約半数が海外生活経験者となります。校内では日本語・英語のほか、さまざまな言語が日常的に飛び交っています。

 この日のオンライン説明会では、最初に、校長の雨宮真一先生が「多様な人々と共に生き、進展する国際社会で活躍できる人材育成」という教育理念について紹介しました。具体的には、「日々の学校生活を通じて、“現代的な課題を読み解く力”“知識とイメージを自分で再構成する力”“対話を通して人との関係を作り出す力”“異文化への寛容性・耐性”を育てることをめざしています」と話しました。

 同校は、国公立の学校として初めて国際バカロレア(IB)の認定を受けた中等教育学校でもあります。1~4年生(中1~高1)では「中等教育プログラム(MYP)」を実施し、4年生で卒業研究「パーソナルプロジェクト(PP)」に着手します。この「PP」では、これまでに、小学生向けの社会問題ディスカッションカードゲームを開発した生徒や、「栄養と健康」をテーマに、オートミールレシピの考案などに取り組んだ生徒がいたそうです。その成果は作品・論文としてIB本部に評価されます。5・6年生(高2・3)では「一般プログラム」か「ディプロマ・プログラム(DP)」かを選択できます。「DP」の授業は少人数クラスで行われ、ディスカッションやプレゼンテーションを通して学習内容を深く探究します。1学年約120名のうち、「DP」に進む生徒は約15名だそうです。

 また、同校では「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」環境が整っています。1~3年生(中1~3)の「Learning in English(LE)」では、国際理解・環境・福祉など、教科横断的で総合的なテーマを扱います。4~6年生(高1~3)の希望者は、年間を通して数学や歴史などを英語で学習するイマージョン科目を選択することも可能です。

 IB教育の特徴は、包括的な概念的理解をめざす指導を行っていることです。単に事実を記憶するのではなく、学習内容の本質を深く理解するよう促しています。「桃太郎」を例に取ってみると、物語から学べることは「桃太郎はきびだんごを持参した」などという表面的な情報ではなく、「協力関係が勝利を生む」という概念にです。ほかのことにも応用できるので、同校はこれを「転移可能な学び」として重視しているそうです。

 教科の枠にとらわれず、複数の教科が一つのテーマに沿って学びを展開しているのも特徴です。たとえば、理科・美術・音楽の連携授業では、生物学に基づいた架空の動物を美術でデザインして、音楽の授業でその鳴き声を音声ファイルとして製作します。そして、それを展示するなどの取り組みを行っています。

 進路指導の方針は、低学年から段階的に「キャリアエデュケーション・ワークショップ」等を実施し、職業への理解を深めたうえで大学受験に備えるというものです。例年の卒業生の進学先は、国公立大学が20%、早慶上智・ICUが30%、GMARCHが20%、その他の私立大学が10%です。既卒生は15%ほどで、海外大学には例年、20名程度が進学しているそうです。雨宮先生は「一般プログラム生、DP生とも、国内大学、海外大学への進学実績が多数あります。海外大学は費用がかかりますが、奨学金を獲得するための指導も行っています」と述べました。

 最後に雨宮先生は「本校は、生徒自身の興味・関心と学習をつなげていく活動を大切にしています。『こんなところで尖ってみたい』というお子さんがいらっしゃったら、ぜひ一緒に学んでいきたいと思います」と語り、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 西武池袋線「大泉学園」駅から徒歩8分。広々としたキャンパスには4棟の校舎、二つの体育館のほか、武道場、ターフグラウンド、多目的コート、屋外プールなど運動施設もそろっています

www.iss.oizumi.u-gakugei.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

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