受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

横浜共立学園中学校

2025年7月2日(水)

伝統のキリスト教教育とAI時代を見据えた情報教育に取り組むミッションスクール

 横浜共立学園中学校・高等学校の起源は1871年、3人のアメリカ人女性宣教師によって横浜・山手の地に開かれた、日本女性のための教育施設「American Mission Home」にあります。今年で創立154年を迎えます。

 この日の説明会は、横浜のはまぎんホールにて開催され、最初に、サピックス教育情報センター本部長・広野雅明先生による入試分析が行われました。出題傾向については、「極端な難問はありません。標準的な問題を確実に解ける力をつけ、過去問演習をていねいに行いましょう」とのことでした。

 続いて校長の小澤伸男先生が登壇し、同校の教育理念について、「一人の人間を無条件に尊重し、愛するというキリスト教精神が本校の教育の原点です」と話しました。同校が特に大切にしているのは、毎朝の礼拝です。中1から高3までの生徒全員が礼拝堂に集まり、讃美歌を歌い、聖書を読みます。小澤先生は「礼拝は信仰を強制する場ではなく、自分が神様から無条件に愛されている存在だと気づく場です。心を整えて一日をスタートさせるための大切な機会であり、年齢の異なる生徒たちが共に過ごすことで、自然な敬意やつながりが育まれます」と強調しました。

 女子校としての特徴についても説明がありました。同校では、思春期の発達段階に合わせて学習サポートや生活指導を行い、生徒が自分らしさを意識しながら過ごせるように環境を整えています。異性を意識せず、役割分担の固定観念からも解放されて伸び伸びと学べる点は、女子校ならではの魅力です。

 教科教育では、「毎日の授業を通して確かな基礎力を身につける」ことを重視し、反復練習やノート提出、小テストなどを通して学力の定着を図っています。生徒の学習の遅れに気づいた際には、早い段階で教員が声を掛け、朝の補習などで個別にフォローしています。小澤先生は「学習がうまくいかない背景には、心の悩みが隠れている場合もあります。本校では、一人ひとりの生徒の心にしっかり寄り添いながら、支援を行うことを大切にしています」と語りました。

 探究学習も盛んで、高1では、生徒が主体的にテーマを設定したうえで地元・横浜の教会や中華街、元町商店街などを訪ねてさまざまな調査を行い、その成果を発表する「横浜山手の探究」を実施しています。また、「ハンセン病を正しく理解する週間」や「国際理解週間」など、社会課題と向き合う時間も設けられています。

 さらに、今年度からは課外授業の一つとして「コンピュータ科」を新設しました。AI時代を見据え、データサイエンスやプログラミング、アプリ開発などを楽しく学べる内容で、希望者多数により抽選となるほどの人気ぶりです。将来的には、すべての生徒がデジタルリテラシーを身につけられるよう、教育内容の整備を進めているということです。

 進路選択は、高1の秋まで全員が共通カリキュラムで学んだうえで行います。生徒自身が適性と関心に基づいて選び、教員はその意思を尊重して支援しています。

 クラブは中1から高2までの縦割りで活動しています。原則として日曜日は休みで、誰でも楽しく参加できる雰囲気だそうです。

 最後に小澤先生は、「当たり前のことを当たり前にできる人に育ってほしいと考えています。そのためにわたしたち教員も日々、目の前にいる一人ひとりの生徒と真剣に向き合っていきます」と締めくくりました。

イメージ写真 横浜・山手の丘の上にある本校舎は、横浜市指定有形文化財の第1号に指定された木造3階建ての歴史ある建物です

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