受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

開智所沢中等教育学校

2025年6月11日(水)

さまざまな探究活動を通じて、これからの社会に貢献できる力を培う

 開智所沢中等教育学校は、昨年4月に埼玉県所沢市に開校した開智学園のグループ校 です。グループの共通ミッション「世界の人々や文化を理解・尊重し平和で豊かな社会の実現に貢献できる人材の育成」の達成に向けて、「人のために学び行動する」「得意を伸ばし挑戦する」「志高く学ぶ」ことを学びの目標としています。

 この日の学校説明会で、校長の小野正人先生は、生成AIの急激な進化を紹介しながら、「これからの社会では、生成AIとの共生が不可欠です。生成AIを使いこなすには、質問する力とコミュニケーション力が必要です。本校ではこの二つの力の養成に力を入れていきたいと考えています」と話しました。実際、同校では、生成AIの利用を禁止するのではなく、中1からレポートの作成などを通じて適切な使い方を学んでいきます。

 また、同校では、授業や行事といったあらゆる場面を探究の場として位置づけています。そして、探究の基本である「疑問を見いだし、それについて自分で考えて仮説を立て、実験や調査で検証し、その結果を発表する」というプロセスを重視しています。この探究の手法を習得する柱となっているのが、個人探究とフィールドワークです。

 まず、個人探究とは、生徒一人ひとりがみずからテーマを設定し、担当教員から指導を受けながら探究活動を行い、その成果を発表会で披露するというものです。昨年は、城の石垣の耐震性について実験・検証した生徒もいたそうです。小野先生は「個人探究の最終年度である高2では、それまでの4年間で積み上げた成果を、海外で、英語を使って発表することを目標としています」と構想を語りました。

 一方、フィールドワークは年に1回で、グループで取り組みます。中1は磯で生物採集をしながら探究活動を行います。中2以降の生徒は、自分自身で必要な訪問先などを考えて計画的に探究を進めます。

 国際的な環境で学べることも同校の大きな特色の一つです。教員の3人に1人がバイリンガルで、英語の授業は週に7時間設定されています。英語が堪能な日本人教員による美術や技術などの授業もあり、そのほかに英語学習アプリを活用する授業もあるので、英語の学習時間は6年間で2500時間に及びます。海外大学進学も視野に入れた国際クラスでは、帰国子女や外国籍の生徒、インターナショナルスクール出身の生徒が全体の約4分の1を占めるなど、多様なバックグラウンドの持ち主が集まるグローバルな環境となっているのも特徴です。

 国際バカロレア(IB)を取り入れていることも注目したいポイントです。同校の探究への取り組みと、世界平和のための教育を推進する国際バカロレア(IB)の理念が非常に近いことから、国際バカロレア候補校の認定を受けていて、国際標準の教育を提供しています。

 探究の土台となる知識を重視しており、学力向上に向けた取り組みに力を入れています。1クラス30人程度の少人数制で、英語と数学は習熟度別クラスで学びます。大学進学に向けては、放課後特別講座や夏期講習、冬期講習などを開講してサポートしています。小野先生は、同じ開智学園のグループ校の例も挙げながら、海外大学や国内大学の医歯薬系学部など、生徒の希望進路に応じた選択授業を実施していく構想を語りました。

 創設されて2年目の同校は、自分たちで学校をつくっていこうという活気にあふれています。生徒会長選挙にはたくさんの生徒が立候補し、活発な議論が交わされました。体育祭や文化祭も、生徒たちが企画から運営まですべて主体的に行っているそうです。部活動に相当するEA(Extracurricular Activities)では、 サッカーやバスケットボールといった体育系の活動のほか、生徒のアイデアでeスポーツ、鉄道研究、クイズ研究といった活動も行われています。

イメージ写真 JR武蔵野線「東所沢」駅から徒歩約12分。東京都内からも通いやすい立地で、在校生の約6割は東京都在住です

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