受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

海陽中等教育学校

2025年6月21日(土)

全寮制の生活で人間力を鍛え、将来の日本を牽引する人材を養う

 海陽中等教育学校は、将来の日本を牽引する人材の育成をめざし、トヨタ自動車、東海旅客鉄道(JR東海)、中部電力をはじめとする80社以上の大手企業が賛同して2006年に愛知県蒲郡市に設立されました。三河湾に面した広大な敷地に、充実した施設と寮を完備したボーディングスクールです。

 SAPIX代々木ホールで行われたこの日の説明会では、最初に、渉外部長の近松貴史先生が、「なぜ全寮制なのか?」というテーマで、学校の概要を説明しました。「社会で活躍するための能力」を身につけるために、同校では「対人能力」「問題解決能力」「自己管理能力」など、数字では表せない非認知能力を伸ばしていく方針です。全寮制というシステムも、「同世代の仲間と学び、生活を築き上げていくことが非認知能力を伸ばす」という観点から導入しています。「本校では、授業とハウス(寮)生活で、学力と社会で活躍するための能力の両方を伸ばします。そして、それを発揮して社会に還元しようという高い志を持った青年に育てることをめざしています」と述べました。

 次に、人間力を育成するための取り組みについて紹介しました。同校では、将来の自分の基礎・基盤となる日常の体験「実体験」と、それ以外の特別な体験「創造的体験」をともに重視しています。「実体験」には、ハウスでの生活、日々の授業、生徒主体の行事に加えて、各学年で行われる蒲郡市内研修(1年)、東海地区研修(2年)、伊勢研修(3年)、富士文化研修・富士登山(4年生)、歌舞伎鑑賞(5年生)があります。ここで日本の伝統文化などを学びます。一方、「創造的体験」には、トヨタ自動車の豊田章男会長など、各界で活躍するトップリーダーから話を聞く特別講義やキャリア講座などがあります。さらに、工場見学、大企業への訪問も行われ、トヨタ自動車と連携して最先端のロボット技術を学ぶ機会もあるそうです。このように、生徒の知的好奇心を満たし、将来の夢につながるプログラムを数多く実施しているのも同校の魅力です。近松先生も「さまざまな企業が協賛する本校ならではの、学びの特徴の一つです」と強調しました。

 続いて、ハウスの概要についても説明がありました。北海道から沖縄まで全国から集った仲間たちと生活を共にするハウスは全部で12棟あり、多様な価値観が混在する「ミニ社会」を体験できる学びの場となっています。各ハウスは4階建てで、一つのハウスでは約60名が生活します。1階はテレビ、洗濯機、冷蔵庫などがある共用スペースで、2階から4階までが生徒の個室になっています。ハウスのお父さん的役割であるハウスマスターは社会経験豊富な企業出身者やベテランの教員などが担当します。各階にはフロアマスターが1名ずつおり、生徒と一緒に暮らします。このフロアマスターは協賛企業から派遣される若手社員で、生徒の生活や学習を支えるほか、相談相手にもなる心強い存在です。さらに、ハウスでは自学自習の習慣化を図るため、毎日2時間の夜間学習が義務づけられています。ここでは、教職員による学習サポートも受けられます。

 親元を離れたハウス生活では、清掃・洗濯・アイロンがけといった身の回りのことも自分自身でしなければなりませんが、これにより、時間を管理する力がしっかりと身につくそうです。近松先生は「本校にはいつでも対面で語り合える友人、切磋琢磨できる仲間が、すぐそばにいます。チームワークの形成などにも大きな効果をもたらしています。また、親御さんのありがたみがわかる優しい生徒に育ちます」と話しました。

 2025年3月の卒業生は、東京大学6名をはじめ、国公立大学等に22名が現役合格しました。なお、卒業後は、卒業生とフロアマスターOBなどで構成する同窓会「海陽橘会」の会員となり、幅広い人脈を築くこともできるそうです。

 近松先生は「50年、60年先の日本を安心して任せられるリーダーを育てたいというのが本校の願いです。今後AIやロボットがますます発達するでしょうが、そのような厳しい世界を生徒たちは生き抜いていかなければなりません。それには、今の段階から親元を離れて、社会を生き抜く力を蓄えられる環境をお子さんに提供してあげることも、選択肢の一つではないかと思います。本校では、生徒の力を最大限に引き上げて、社会で活躍する人材に育成します」と結びました。

イメージ写真 大海原を一望できる三河湾に面した13万㎡の広大なキャンパス。サッカー、アメリカンフットボール、野球、陸上も同時に行えるグラウンド、蔵書数約6万4000冊の図書館、天体望遠鏡室などがあります

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