受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

富士見中学校

2025年6月30日(月)

探究・金融・芸術教育を通じて社会とつながる学びを新たに展開

 創立85周年を迎えた富士見中学校は、伝統的な教育理念を大切にしながら、これからの時代に必要な力を育むための革新的な取り組みを進めています。

 この日の説明会では、同校の生徒たちが練馬区選挙管理委員会と協力し、投票率向上を目的としたポケットティッシュの制作・配布に取り組んだ様子が紹介されました。

 続いて登壇した校長の善本久子先生は、「今まさに、『社会に貢献できる自立した女性の育成』が求められています」と語りました。同校では、VUCA(予測困難で不安定な社会)時代をしなやかに生き抜くための力として、「自分の意見を形成する力」「聴く力」「課題を発見する力」など、独自の「17の力」を育む教育を行っています。

 また、新たな学びのプロジェクトもスタートしています。善本先生は「他者の視点や評価に左右されるのではなく、自分が本当にやりたいこと、自分らしい進路を見つけることこそが大切です」と語り、柱となる三つの取り組みを紹介しました。

 一つ目は「米(第一次産業)を軸にした探究学習」です。「一粒の米から世界を見通す」をテーマに、校内での稲作体験や、契約農家との連携による田植え・収穫・商品化・販売に、生徒が主体的に取り組みます。ラベル作成や販売戦略立策も手がけ、文化祭ではできあがった「富士見米」の販売を行うなど成果を実感できます。こうした探究学習は中高6年間にわたり展開されます。中1のコメ探究を起点に、高2では各自の興味・関心に基づいて日本語論文を執筆し、高3ではその要約をもとに生成AIを活用しながら英語で論文を執筆します。

 二つ目は「先進的な金融教育」です。「社会に貢献できる自立した女性」のためには「先進的な金融教育」が重要と考え、今年度から新たに「ファイナンシャルセンター」を設置しました。これからさまざまな金融プログラムを実施し、金融と社会のつながりを学ぶカリキュラムを進化していきます。

 三つ目は、「所蔵美術品を活用した芸術教育」です。校内には400点を超えるの美術品があり、それらを学びに活用しています。「生徒には、自国の文化を自分のことばで語れる力を身につけてほしいと考え、日本画をはじめとした芸術についての知識と技術の習得に力を入れています。生徒一人ひとりの『種』を大切に育て、それぞれの花を咲かせる教育環境が整っているといえます」と善本先生は胸を張ります。

 グローバル教育が盛んなことも特徴です。「グローバルセンター」という専門部署から多種多様なグローバルプログラムが発信されます。海外研修や姉妹校との交流はもちろん、校内でも世界を体験できる機会が多くあります。海外の学校やインターナショナルスクールの生徒を本校にお招きし、茶道部による和のもてなしや、英語による学校案内を通じて、生徒同士の文化的対話が深められています。また、中1・2生全員が参加する「グローバルヴィレッジ(外国人留学生との交流)」を通じて、間違いを恐れることなく楽しみながら英語を学んでいきます。また、来年度からは中3生の修学旅行の訪問先がシンガポールに変更され現地の大学での学びや、文化の多様性を学ぶプログラムを予定しています。

 サイエンス教育は体験的な活動が多く盛り込まれています。全学校で合計650回以上の実験が行われ、中高を通じて遺伝子組み換え・DNA抽出など多彩なテーマに挑戦しています。また、大学との連携による最先端プログラムもあり、生徒の好奇心を刺激します。

 最後に、入試広報部長の藤川建先生から卒業後の進路について説明がありました。2025年春の卒業生の約60%が難関大学に進学しています。東京科学大学や東北大学などの国立大学、慶應義塾大学、早稲田大学などの私立大学に総合型選抜で合格者を出しました。また、2024年春は東京芸術大学にも現役合格者が出ました。藤川先生はさらに続けて、「進路サポート体制も充実しており、他の学年は6クラスのところ、高3は7クラス編成にして少人数指導を徹底しています。また、総合型選抜で必要な志望理由書の執筆指導や成果物の作成のバックアップ、自習室の午後9時までの開放、夏期・冬期・直前講習の開講など、学校全体できめ細かくサポートしています」と紹介しました。

 同校の入試制度は多様で、一般入試のほかにも「英語資格利用入試」「算数1教科入試」「帰国生入試」があります。詳しくは同校のホームページをご確認ください。

イメージ写真 木のぬくもりが感じられる大階段は単なる移動のための通路ではなく、学びと感性を育てるギャラリーになっています

www.fujimi.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ