受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

世田谷学園中学校

2025年6月14日(土)

創立125周年の2026年に向けて新校舎を建設。生徒の創造性を伸ばす専門教室も完備

1592年に開設された曹洞宗吉祥寺の学寮「旃檀林(せんだんりん)」を起源とする世田谷学園は、禅の精神に根ざした人間教育を行う男子進学校です。1902年には私立学校令に基づく私立校となり、2026年に迎える創立125周年を記念して、2025年1月から地上4階建ての新校舎の建設を進めています。新校舎には、技術室、美術室、ICTラボ、グローバルルームなど、生徒の創造性を高める施設が設けられる予定です。既存の校舎にある美術室とコンピュータルームは自習室として改装されます。

あいさつに立った校長の山本慈訓先生は、教育理念「Think & Share」について、次のように語りました。「これは、お釈迦様のことば『天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)』の意味を英語で端的に表現したものです。このことばはエゴイズムの象徴のように誤解されがちですが、本来は『わたしだけが持っているかけがえのない価値がある。同じように、あなたにもあなただけが持っているかけがえのない価値がある』という相互尊重の精神を表しています」

この理念を土台に、同校では「明日をみつめて、今をひたすらに」「違いを認め合って、思いやりの心を」というモットーを掲げ、「かしこく(智慧)、豊かで(慈悲)、たくましい(勇気)人」の育成を目標としています。

その教育を支えるシステムの一つが、「本科コース」と「理数コース」の2コース制です。同校では、中学入試の段階からコース別に生徒を募集しています。「本科コース」は将来の進路をじっくり考えたい生徒を、「理数コース」は理系志望が明確な生徒をそれぞれ対象にしています。2コースの大きな違いは、「土曜プログラム」(前期)の内容です。「本科コース」は小説創作、英語劇、ダンスなど幅広い分野の活動に取り組みますが、「理数コース」は農業体験・数学検定講座・理科特別実験など、理系に特化した活動を行います。ここで得た学びは、後の探究活動に生かされます。「本科コース」では人文科学・社会科学・自然科学を幅広く学ぶのに対して、「理数コース」は「世田谷サイエンスプロジェクト(SSP)」と題した、自然科学に特化した課題に励みます。

仏教校ならではの「一泊参禅」があるのも特徴です。曹洞宗の大本山である、福井県の永平寺や横浜市の總持寺で坐禅や作法を学び、感謝の気持ちを育む禅の教育を大切にしています。山本先生は、「座禅を組んだり、作法に沿って精進料理をいただいたりするなかで、生徒たちに感謝の気持ちが芽生えます」と述べました。

最後に、広報部長の宝地戸通至先生が、保護者から多く寄せられる質問への回答を交えながら、学校生活について紹介しました。同校の生徒については「おとなしいタイプが多く、校則を細かく定めなくても常識的な行動ができる」との回答でした。また、「補習や講習はありますか」という質問には、「つまずきへの対応として行う『ステップアップ講習』や夏期講習、高2・3対象の大学受験講習など、幅広く対応しています」と説明しました。

学校行事も充実しています。体育祭や文化祭は生徒主体で運営されます。富士山の麓で行うオリエンテーション、夏休みに長野県で実施されるサマースクールといった中1の宿泊行事は、仲間と協力しながら課題に挑む貴重な機会となっています。中3の修学旅行はコースによって行き先が分かれます。「本科コース」は沖縄でマリンアクティビティーを行い、「理数コース」は鹿児島で自然観察や平和学習を行います。高1では全員が海外研修に参加します。「本科コース」の生徒はカナダのビクトリア市とニュージーランドのオークランド市で、「理数コース」の生徒はカナダのトロント市でそれぞれホームステイを経験することなどが伝えられました。

イメージ写真 冷暖房完備の体育施設が集まる修道館など、充実した施設がそろっています。新校舎は2026年2月に完成予定。2024年にはグラウンドの人工芝化が完了しました

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