受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

鷗友学園女子中学校

2025年6月13日(金)

「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」という校訓の下、「タフで愛ある人」を育てる

 鷗友学園は1935年、東京府立第一高等女学校(現在の都立白鷗高等学校)の同窓会である鷗友会によって設立された女子進学校です。ミッションスクールではありませんが、キリスト教の精神を基盤に、「慈愛と誠実と創造」を校訓に掲げています。「慈愛」はキリスト教でいう「純粋な愛」で、一人ひとりが大切な存在だということを意味しており、可能性を「誠実」に伸ばして社会の中で発揮し、「創造」的に生きることができる人物を育成しています。

 説明会の冒頭、同校の卒業生でもある校長の柏いずみ先生は、これからの時代をしなやかに生きていく子どもたちを育てるための、それぞれの成長過程に合わせたカリキュラムを紹介しました。

 たとえば理科では、中1の授業を生物に絞り、イカの解剖など年間28回の実験や観察を行います。抽象的な思考ができる中2からは、物理・化学・地学を学びます。物理では、仮説検証型実験を約2か月かけて行います。たとえば、スーパーボールの落ちる距離と跳ね返る距離の相関などについて、最初は一人で仮説を立ててから、次にグループワークで仮説に基づいた実験を行い、検証を重ねていきます。そして中3では化学です。見た目が同じ10種類の白い粉末の正体を突き止めるための実験を生徒が自分でプランニングし、進めていきます。

 創立当初から行われている園芸の授業も同校の特色の一つです。柏先生は「子どもたちは土に触れると、とても優しい顔になります。『同じ条件で育てても、同じ大根にはならない』など、知識や理屈だけでは到達することのできない事象があることも学びます」と述べました。

 続いて、柏先生は、校訓の「慈愛と誠実と創造」を現代的に解釈した「タフで愛ある人」ということばを紹介しながら、同校が育てようとしている生徒像について話しました。「子どもたちには、『慈愛と誠実と創造』のスピリットがあれば、どんな時代でも、しなやかにタフに生きていけるよ、しかも社会に必要とされる人物に育つことができるよ、と語っています」と述べたうえで、「不安なことも多い未知の世界であっても、生き生きとタフに活動できて、しかも愛される人になれれば、きっとすてきに生きていけるのではないでしょうか」というメッセージで締めくくりました。

 次に、入試広報部長の若井由佳先生が、同校の教育と学校生活について説明しました。生徒を「自走できる、自律した学習者」として育てるために、中1・2では予習・復習の仕方、宿題の範囲や提出日など、細かい指示を出していきます。また、宿題の未提出が多い生徒や、定期考査で到達基準に達していない生徒を対象に、放課後の補習を実施し、きめ細かくフォローしています。高校では宿題や問題集の提出義務はなくなりますが、学習スタイルが確立できているため、多くの生徒はきちんと計画的に自分たちのペースで進められるそうです。「これは学年が上がると自然に身につく力ではありません。大切なのは仲間の存在です。周囲の友だちや上級生が努力している姿を見て、『わたしもがんばろう』と思うようになるのです。確かな学力は、豊かな人間関係のうえに育まれていきます」と語りました。

 同校では、誰もが「自分らしく」いられることを重視し、コミュニケーション力を伸ばす取り組みも行っています。たとえば、中1では1クラスを約30名という少人数で編成するほか、人間関係が固定しないよう、3日に1回、席替えを行うなどして、生徒同士の距離を縮めています。「価値観の異なる友だちとコミュニケーションを図る経験を積むと、生徒たちは、グループワークなどで『誰と組むか』より『何をしたいか』に変わっていきます」と若井先生は言います。

 最後に、教頭の鱸康幸先生より、来年度の入試について説明がありました。募集人員は第1回・第2回合わせて約220名と、これまでと変更はありませんが、「合格者数については、今後検討していきます」とのことです。

イメージ写真 中1と高1は園芸が必修科目。校内の実習園で、インゲンやラディッシュなどを栽培します。かもめ祭(学園祭)では、園芸部が育てたハーブや空心菜などを購入することもできます

www.ohyu.jp 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ