受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

桐蔭学園中等教育学校

2025年6月6日(金)

学びの3本柱を軸に、6年一貫教育でこれからの時代に生きる力を育成

 桐蔭学園中等教育学校は2019年、それまで男子のみだった中等教育学校と、男子部・女子部に分かれていた中学校を統合し、完全中高一貫の共学校として新たなスタートを切りました。「自ら考え、判断し、行動できる子どもたち」を教育ビジョンに掲げ、新しい時代に必要となる力の育成をめざしています。

 この日の説明会であいさつに立った校長の玉田裕之先生は、氷山モデルのイラストを示しながら、「水面に見えている『知識・技能』の部分は、場合によっては“大人を主語”として覚えさせる領域です。より重要な学力は、水中にある『思考力・判断力・表現力』ですが、これらは、さらにその下にある『学びに向かう力』や『人間性』が育まれてこそ、初めて伸びていくものです。本校では常に“生徒を主語”にした学びを心がけ、氷山の下の部分から育てていきます」と、「桐蔭で伸びる学力」のイメージを説明しました。

 同校では、この春、2019年に入学した共学の中等教育学校1期生が大学受験に臨みました。結果は、現役合格率が81.6%に達し、進学者の約半数がGMARCH以上の難関大学に進みました。玉田先生は「生徒一人ひとりが偏差値にとらわれず、胸を張って志望する道を選び取った結果、進路が多様化したことを強く感じます」と語り、6年間の教育に対する手応えに胸を張りました。

 次に学校広報主任の山本英門先生が登壇し、具体的な教育内容について詳しく説明しました。同校の教育の3本柱の一つが、「個→協働→個」という流れで進める「アクティブラーニング型授業」です。山本先生は「低学年での基礎的な内容の学習から、6年生(高3)の大学入試対策にいたるまで、ほぼすべての教科で『アクティブ・ラーニング型授業』を取り入れています。なかでもグループワークやペアワークといった『協働』を大事にしており、こうした取り組みによって確かな学力を定着させることができます」と述べました。

 二つ目の柱である「キャリア教育」は、朝のホームルームで行われる「1分間スピーチ」がその土台となります。生徒は、学期ごとに設定されたテーマに沿って、6年間、毎日1人ずつがクラスのみんなの前で発表します。それを聞くほうも、他者の意見に耳を傾け、発表者に拍手を送ることで「傾聴」と「承認」を積み重ねていきます。また、3年生(中3)になると、韓国での海外語学研修に全員で参加し、社会への視野を広げます。さらに、5年生(高2)の3学期には、保護者と担任に向けて、自分が将来どうありたいかを語る「プレゼン型三者面談」が実施されます。山本先生は「このような場で、自分のことばでしっかりと話せるのは、学習意欲が本人のなかに根づいているということです。だからこそ、最後まで大学受験に向けてがんばることができるのです」と話します。

 そして、三つ目の柱として紹介されたのが「探究」です。同校では、1年生(中1)から5年生(高2)まで週1回、「未来への扉(みらとび)」と呼ばれる授業を設定しています。1年生(中1)では身の回りの課題、2年生(中2)では学校の周辺の地域の課題というように、段階的にテーマを広げていくのが特徴です。3年生(中3)ではグローバル探究として模擬国連に取り組みます。4・5年生(高1・2)になると「自分と社会のウェルビーイング」をテーマに探究を深め、学び続ける力を身につけます。

 続いて、放課後に多様な学びの場を提供する「アフタースクール」が紹介されました。部活動のほか、たけのこ掘りや植物採集など、さまざまな体験プログラムが開催されているそうです。

 このほか、生徒の視野を広げる教育活動として、4年生(高1)の夏休みに金沢医科大学で大学院生とともに医学を学んだり、横浜地方裁判所で模擬裁判を行ったりする「アカデミックキャンプ」も行われます。

 最後に、2026年度入試の変更点として、「帰国生入試」を取りやめ、2月1日午前と2日午後の募集人数を男女5名ずつ増やすことが伝えられました。また、1日午前の「探究型(みらとび)入試」では、「算数基礎」が廃止され、総合思考力問題のみで選抜が行われます。

イメージ写真 ネイティブ教員や友人と英語で楽しく交流でき、アフタースクールのプログラムも開催される「グローバルラウンジ」。英語や海外の文化に日常的に触れられる環境が整っています

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