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学校説明会レポート
灘中学校
2025年6月3日(火)
「精力善用」と「自他共栄」の校是の下、自由な校風で主体的な学びへ導く
兵庫県の阪神地区にある酒造地「灘五郷(なだごごう)」で酒造業を営む三家の篤志を受けて、旧制灘中学校が設立されたのは1927年のことです。戦後は新制灘中学校・高等学校となりました。「精力善用」と「自他共栄」の校是の下、生徒の自主性を重んじる自由な校風は、現代にまで受け継がれています。毎年、東京大学をはじめとする最難関大学にたくさんの卒業生が進学する、国内屈指の進学校としても広く知られています。
この日のオンライン説明会は、サピックス教育事業本部本部長の広野雅明先生による入試分析で始まりました。続いて登壇した校長の海保雅一先生は「灘校の強み」として三つの特徴を挙げ、教育方針と学習内容を説明しました。
最初に挙げたのは「質の高い授業」です。生徒の知的好奇心や探究心に応えるために、単元を深く掘り下げたり単元の枠を越えたりして創意工夫に富んだ授業を展開しているとのことです。その質の高い授業を支えているのが「担任持ち上がり制」です。中学入学から高校卒業までの6年間を、8名の教員から成る学年担任団が一貫して受け持ち、この担任団に所属する英語・数学・国語の教員が全4クラスのほとんどの授業を担当しています。分担制ではないため、効率的・計画的・独創的な授業ができるのがメリットです。また、さまざまな分野で活躍する外部講師を招いての「土曜講座」が6月と10月に開催されており、その質・講座数とも「ほかに類を見ない規模」とのことでした。海保先生は「総合的な探究の時間の一貫としてだけでなくキャリア教育の機能も兼ねており、年間60講座ほど開講しています」と強調しました。
続いて、蔵書数約8万冊を誇る「学校図書館」の紹介に移りました。2名の専任の司書教諭が常駐する館内には授業ができるほど広いスペースがあり、探究学習に活用されているそうです。司書教諭は教科教員とチームティーチングで探究活動をサポートしています。
「強み」の二つ目は「非認知能力を伸ばす取り組み」です。その具体例として紹介されたのが部活動です。同校には25の文化系クラブと17の体育系クラブがあり、参加率は8割以上で、多くの生徒が兼部もしているとのことです。体育系では、ラグビー部・サッカー部・柔道部などが活躍し、海外の学校との交流試合も行っています。文化系では理数系のクラブが充実しています。
また、「生徒が学校の主役である」というスローガンを掲げる同校は、生徒会傘下の文化委員会・体育委員会などへの参加者も多く、こうした委員会が主要な学校行事の企画・運営を担っています。このような「共感できる仲間との集団活動」を通して、企画力・コミュニケーション能力・リーダーシップ・人間関係調整力といった非認知能力が鍛えられます。
一方、個人で主体的に活動する生徒も多く、例年国際科学オリンピックをはじめとする校外のさまざまなコンテストで受賞者を輩出しています。海保先生は「学校側は一切関与せず、生徒たちは自主的にコンテストやイベントに挑戦しています。コンテストに参加した先輩がゼミや勉強会を開き、みずからの体験を後輩に継承しているからこそ、後輩も優秀な成績を挙げることができるようです。そのようなロールモデルに出合えることも本校の最大のメリットの一つです」と述べました。
そして、三つ目が「精力善用(自己の持てる力を最も有効に活用する)」「自他共栄(互いに助け合い譲り合って、自分も他者も共に生き栄える社会をつくる)」の二つの校是と、昭和モダニズムを継承する「自主・自由の学校文化」です。海保先生は、校則がない自由な校風に触れながら、「規則で縛りつければ生徒の思考は停止してしまい、主体的な学びは実現不可能となります。校是を指針として、教員は創意工夫に富む個性豊かな教育活動を行い、生徒も自主・自由の校風の下で主体的に活動しています」と結びました。
文化祭の中庭ステージでは、ダンスやコンテストなど多彩なパフォーマンスが繰り広げられます
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