受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

麻布中学校

2025年5月16日(金)

みずからを律する力を基盤に
自由な校風を受け継ぐ伝統校

 麻布学園の歴史は1895年、明治から大正にかけて活躍した政治家の江原素六によって創立された麻布尋常中学校に始まります。「自主的に考え、行動できる人間を育てること」を教育目標に掲げる同校では、生徒の自発性・自主性を尊重しています。明文化された校則はなく、服装も自由で、文化祭や運動会などの学校行事は生徒自身の手で企画・運営されています。

 SAPIX代々木ホールで行われたこの日の説明会では、はじめに校長の平秀明先生が同校の教育の根本にあるものとして、創立者が大事にしていた「愛と誠」ということばを紹介しました。「この理念を現代風に『真理を愛する心』『物事の本質を見極める力』『人類・社会に貢献する志』と読み解いています。本校はよく自由な学校といわれますが、大事にしているのは“愛と誠”の実現をめざした、内面的な精神の自由です」

 さらに、「1895年の創立以来、校風として掲げてきた『自由闊達』『自主自立』を支えるためには、みずからを律し、自分で自由をコントロールする必要がある」と平先生は言います。「目的もないまま、自由な6年間に身をまかせてしまえば、周囲の風や波に揺さぶられ、あてもなくさまようことになってしまいます。やはり、自分を律する力こそが何より大切になります」と強調しました。

生徒の知的好奇心に応え
刺激を与え続ける授業を実践

 次に、私服で授業を受ける中1の生徒たちの様子を紹介しながら、教育内容についての説明に移りました。「教育の本質は、立派な教室や設備ではなく授業にあります。そして、真摯に学ぶ生徒と情熱を持って教える教師がいることで授業が成立するのです」と平先生は語ります。現在、同校に在籍する96名の専任教員の8割以上が大学院を修了しており、高度な専門性を生かして、生徒一人ひとりの学びを支援していることも伝えました。

 また、「生徒にいかに刺激を与え続けられるか」を意識した教育も、同校の大きな特長です。英語・数学・国語・社会・理科の学習の充実に加え、音楽・美術・技術家庭といった実技科目も重視し、すべてにおいて「みずから考え、書くことによって表現する教育」を実践しています。たとえば、中3の現代文では卒業共同論文を、高1の社会科では基礎課程修了論文を執筆する機会を設け、優れた作品は論文に限らず毎年『論集』にまとめられます。また、地理と歴史を統合した中1の独自科目「世界」の授業を通して、多様性を認め合う意識を身につけます。国際交流も活発で、河南省実験中学(中国)、ショーニガン・レイク・スクール(カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州)、養正高校(韓国)、ジョット・ウリーヴィ高校(イタリア)と、生徒の相互訪問を行っています。

 最後に平先生は、「何かを実現しようとする目的意識を持ち、知的好奇心とチャレンジ精神が旺盛な人に、ぜひ本校に来てほしいと思います」と力強く語り、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 約30年前から始まった国際交流は、麻布が独自に培ったプログラムです。2024年春は、イタリアのジョット・ウリーヴィ高校の生徒たちとピサの斜塔を見学しました

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