受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

浅野中学校

2025年5月25日(日)

学業・学校行事・部活動の三本柱で自主独立の精神と責任感を育む無宗教の男子校

 1920年、現在の太平洋セメントの発祥となる浅野セメントの創業者として知られる、実業家の浅野總一郎によって創立された浅野中学校・高等学校は、首都圏有数の男子進学校です。創立者の生きざまを表す「九転十起」の精神と、初代校長を務めた水崎基一先生の教育理念である「愛と和」を校訓に掲げ、学業・学校行事・部活動を三本柱とするバランスの取れた教育を展開しています。京浜工業地帯や横浜ベイブリッジを眼下に見渡す高台に位置する同校のキャンパスには、自然を感じながら学べる環境が整っており、生徒同士がお互いに尊重し合いながら、日々切磋琢磨しています。

 この日の説明会で入試広報部部長の德山直先生は、同校の教育について、「生徒一人ひとりが自分の居場所を見つけ、学びを深めながら成長していく学校です」と述べ、その具体例として活発なクラブ活動について紹介しました。運動系・文化系合わせて33団体と種類が豊富で、学校としては活動日数の制限はしておらず、運動部は高3の夏ごろまで続けられるそうです。各部とも同学年の部員とはもちろん、先輩と後輩との縦のつながりも強いため、仲間と支え合う関係が自然と生まれ、高いレベルでの文武両道を実現しています。

 制服は黒の詰襟とYシャツが基本ですが、生徒会の提案により2025年度からポロシャツも制服に加わり、暑い季節でも快適に過ごせるようになりました。德山先生は「生徒の意見を取り入れながら、より良い学校生活をめざしている」と説明しました。

 学習面では、特に英語と数学を重視し、毎回の授業・課題・小テストを通じて学力の定着を図っています。一方で、他教科とのバランスを考え、課題を必要以上に課さないよう配慮していること、ICT教材を活用していること、各学年の担任が常駐する「学年控室」を各学年のフロアに設けて、相談体制を整備していることなどについても触れました。

 一方、校内には県内有数の最新設備がそろう「打越アリーナ」をはじめ、五つの理科実験室、約6万冊の蔵書を誇る2階建ての図書館「清話書林」などがあり、学習に集中しやすい環境が整っています。中学の理科では実験室の利用が多く、特に中3では理科実験という授業が設定されています。この理科実験は1クラスを二つに分け、それぞれに教員と理科助手を配した4人体制で行われるので、とても充実しています。

 この日は、希望者を対象とするグローバルプログラムも紹介されました。中2の春休みに行う3日間の英語実践プログラム、中3から高2までの希望者を対象とするイギリスのオックスフォード大学でのリベラルアーツプログラム、シンガポール研修(中3・高1)などがあります。これらは、語学力の向上にとどまらず、多様な文化や価値観に触れて視野を広げることも目的としています。

 今年3月の卒業生の進学実績の話もありました。まず、東京大学への合格者は現役のみで46名、浪人を含めると51名でした。この46名を含めて国公立大学への現役進学者が110名、早稲田大学と慶應義塾大学への現役進学者が合計47名でした。私立大学全体では86名が進学し、「現役志向や国公立志向はやや高め」とのことです。德山先生によると、進路指導では、外部講師や卒業生による講演を通じて、多様な進路の選択肢を伝え、社会瀬求められる力とは何かを考えさせる機会を設けているとのことです。「学校見学はぜひ、ふだんの日も訪れてください。建物の外の見学は随時可能で、土曜日の午後などは部活動をする様子が見られます。生徒の自然な姿を実際に見て、学校の雰囲気を肌で感じてください。中学・高校の6年間は、子どもたちが大きく変化し、成長する貴重な時間です。学びだけでなく、学校生活そのものが人生の糧になるよう願っています」と締めくくりました。

 2026年度入試については、例年どおり2月3日の1日のみの実施となります。2025年度から募集定員はそれまでの270名から240名へと30名減りましたが、合格者の平均得点はほとんど変わっておらず、例年どおりの傾向が続くことが予想されるそうです。

イメージ写真 創立者・浅野總一郎の銅像。京浜工業地帯や横浜ベイブリッジを眼下に見渡すことができます

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