受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京学芸大学附属竹早中学校

2024年10月21日(月)

「多様性」を教育の軸に、多彩な学習環境のなかで生徒の自主性を育む

 文京区小石川にある東京学芸大学附属竹早中学校の源流は、1947年開設の東京第一師範学校女子部附属中学校と東京第二師範学校女子部附属中学校です。これらの流れをくむ中学校が新設されたのは1954年のことです。それ以来、東京学芸大学の附属校として中等普通教育を行う一方、教育学の研究や理論を実証する場として先進的な学びを実践してきました。大学生の教育実習を指導するとともに、地域の学校と連携した教育活動を推進する役割も担っています。

 SAPIX代々木ホールで開催されたこの日の説明会では、最初に副校長の森顕子先生が学校生活について紹介しました。同校では、教育目標に「自ら求め、考え、表現し、実践できる生徒を育てる」「他人の立場や意志を尊重できる、視野の広い生徒を育てる」「心身ともに明るくたくましい生徒を育てる」ことを掲げています。校則が少なく、自由でおおらかな校風の下、生徒の自主性を育てる学習環境を整えています。その具体例として森先生が挙げたのは、同校の制服です。冬服はリボンとネクタイが赤・青・緑の3色あり、何らかの式典がある日は緑を着用しますが、ふだんは自由に選べます。夏服のシャツも式典時は白ですが、ふだんは水色でも構いません。また、2023年度から、男女問わず、ズボンスタイル、もしくはスカートスタイルを選べるようにしました。厳しい暑さや寒さに対応できるよう、私服の着用も認めているとのことです。

 さまざまな教室があることも、同校の特色の一つです。普通教室以外に教科別の教室が全部で13室、特別教室が6室あります。特別教室のうち「リソースルーム」は保健室に併設されており、生徒がちょっとした自習を行ったり、心を休めたりするための場所となっています。また、「居心地が良くさまざまな活動が企画できる部屋を」という考えの下、生徒・教員・企業の協力によってつくられた「Dルーム」もあります。特別教室のなかでも特徴的なのが「未来の学校みんなで創ろう。PROJECT」の一環として整備された「SUGOI部屋」です。ここにはプロジェクターが2台あり、教室前方の大型スクリーンは左右いっぱいに広がります。しかも、活動の内容に合わせてレイアウトを変更できるよう、キャスターつきの椅子と机が設置されています。OAフロア化された室内には6G(第6世代移動通信システム)を導入するなど、未来の学校の理想モデルを構築しています。

 さまざまな学校行事の企画・運営は生徒たちが行っています。とりわけ盛り上がるのは、3学年縦割りの4色対抗で競う運動会です。運動会準備委員の生徒が中心になって、夏休み前から企画立案に取り組みます。

 続いて、研究部主幹教諭の上園悦史先生が、研究・実習校としての活動について紹介しました。同じ敷地内にある幼稚園や小学校との連携教育を通して「主体性の育成」に取り組んでいる同校では、「多様性」をキーワードとした研究を行っています。上園先生は「多様性は、これからの社会になくてはならない要素です。多様な人々とコミュニケーションをとり、自分の力と多くの方々の力をミックスして物事を決め、進めていくということが、本校の学びの軸となっています」と話しました。

 最後に、教務主任の浦山浩史先生から入試と進路について説明がありました。2025年度も前年度と同様、募集人員は男子約45名、女子約40名で、面接も行われます。なお、同校から、世田谷区下馬の東京学芸大学附属高校へは、例年、卒業生の4割程度が進学します。そして、4割強が私立高校に、1割程度が他の国立高校や公立高校に進学しています。浦山先生は「第一志望であることが条件ですが、どの生徒も附属高校を受験することは可能です。教員はどこを受験するかを勧めるようなことはしていません。高校3年間をどう過ごしたいのかをしっかり考えたうえで、自信を持って進学先を選べるようにしています」と説明しました。

イメージ写真 2024年度に改修された人工芝のグラウンドは足腰に負担がかからず、けがもしにくいので、思い切り運動やスポーツが楽しめる環境となっています

www2.u-gakugei.ac.jp/~takechu/ 別ウィンドウが開きます。

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