受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

和洋九段女子中学校

2024年11月8日(金)

安心感を持てる環境で生徒が社会とつながる挑戦を応援し、主体性を育てる

 和洋九段女子中学校高等学校は、1897年創設の和洋裁縫女学院を前身とする伝統校です。「先を見て齊(ととの)える」を校訓に掲げ、グローバル社会で活躍する女性の育成に向けて先進的な学校改革を推進しています。

 この日の説明会であいさつに立った校長の中込真先生は、女子校に求められるものとして「安心感」を第一に挙げ、「本校がめざしているのは、『古くて新しい』学校です。わたしたちは、これまで長く受け継いできた教育に新たな要素も加え、両方の良さを取り入れながら、経済的・精神的に自立した女性を育てたいと考えています」と語りました。続けて、充実した学習フォロー体制や指定校推薦制度の整備によって、高校卒業後の進路に対して安心感が生まれていることにも触れながら、同校の教育内容について説明しました。

 中込先生が最初に紹介したのは、全科目で導入している「PBL(Problem Based Learning)型授業」です。この授業は、「共通認識を持つ」→「教員がトリガークエスチョン(学習テーマの核心となる問い掛け)を行う」→「個人で意見を構築する」→「グループで討論する」→「仲間に対してプレゼンテーションする」という流れで展開され、生徒たちは対話型の学びのなかで主体性を身につけています。中込先生は「発表の後には必ず拍手を送る、決して人の話をさえぎらない、ネガティブなことばを発しないというルールの下で取り組むうちに、おとなしい生徒も積極的に参加できるようになり、授業が活性化しました」と話しました。また、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術・リベラルアーツ(Arts)、数学(Mathematics)の五つの分野を統合的に学ぶSTEAM教育が特徴の理系分野では、実験による実証、結果の共有、考察・再検討を軸にした授業が行われます。

 英語教育では、高校卒業までにCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)のB2レベルの英語力を身につけることをグローバルコースの目標として、6人のネイティブ教員が学習をサポートしており、実用技能英語検定の2次対策も行っているそうです。

 多彩な体験型学習を実施していることも特徴の一つです。オーストラリアの姉妹校との交流をはじめとした海外留学プログラムを実施しているほか、社会とつながるさまざまな体験活動も後押ししています。中込先生は、日本青年会議所が主催する「全国高校生政策甲子園」の決勝大会において、国会議事堂でプレゼンテーションを行った生徒や、家庭では問題なく会話できるのに、学校や幼稚園などの特定の場所や状況では話せなくなる「場面緘黙(かんもく)症」の人のためのアプリの製作を行った生徒の活躍を紹介しました。「特に、昨年の中3生はそれぞれの力を生かし、100以上の大会に挑戦しました。“未来の空港をデザインする”というテーマで、外部コンテストで最優秀賞を受賞したチームもあります」とアピールしました。このほかにも、成城大学経済学部のゼミと連携して街の再開発プログラムを作ったり、長野県での農業体験を通して地域活性化のプランを考案したりといった、さまざまな取り組みが実施されています。

 ICT(情報通信技術)リテラシーも重視しており、昨年は、企業と連携して学校のコンテンツを仮想空間に構築するプロジェクトを実現させました。今年度は、ICTを活用した探究的な学びを強化する学校として文部科学省より「DXハイスクール」の指定を受け、現在は、ユネスコスクールの加盟申請の準備も進んでいるとのことです。

 立地・アクセスが良い点や、最先端のICT環境を備えた「フューチャールーム」、温水プール、カフェテリアなど、さまざまな設備が整っている点も魅力です。中込先生は「こうした教育環境もまた、生徒たちに安心感を与えるものだと思っています」と強調しました。なお、中学はグローバルクラスと本科クラスの2クラス編成で、入試の際はいずれかを指定して受験します。高校は本科・グローバル・サイエンスの3コース制となります。

イメージ写真 個別の自習ブース「スタディステーション」は夜8時まで利用可能。部活動後に課題や翌日の予習を終わらせて帰宅する生徒もいます

www.wayokudan.ed.jp/ 別ウィンドウが開きます。

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