受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

聖学院中学校

2024年10月18日(金)

探究型学習やグローバル教育、体験学習を通して、生徒の知的好奇心を刺激

 1903年にアメリカの宣教師H・H・ガイ博士によって設立された神学校を起源とする聖学院中学校は、「神を仰ぎ人に仕う」という建学の精神の下、キリスト教に根差した全人教育を実践する男子伝統校です。

 この日の説明会で登壇した入試広報部長の早川太脩先生は、スクールモットーである「Only One for Others」について「『Only One』とは、神様から授かったかけがえのない賜物(たまもの)を発見し、磨いていくことを表します。一方、『for Others』には、その賜物を生かして、世界や社会のために貢献できるような生徒を育てたいという願いが込められています」と説明しました。

 このモットーを体現するために、同校が教育の三本柱としているのが「授業」「グローバル教育」「体験学習」 です。まず、授業については、すべての教科で「ICEモデル」に基づいた体験型学習が実践されています。ICEモデルとは、Ideas(基礎知識)、Connections(つながり)、Extensions(知の応用)という各段階の頭文字を取った学習・評価方法を表すことばです。授業は、単元ごとに「学びのストーリー」を作り、課題の解決に向けた「問い」を投げ掛けるところから始まります。その一例として、早川先生は、理科の時間にストローブリッジ(ストローを材料にした橋)をグループワークで作る探究型授業の動画を紹介し、「生徒たちは自分で橋を作りながら、橋の構造や力学をしっかり理解します。男子には座学の授業で暗記することよりも、疑問を持った事柄について、手を動かしながら学びを深めていくのが得意な生徒が非常に多いです。このように本校では、Only Oneを見つけるのに適した教育を模索しています」とアピールしました。また、家庭学習をフォローするために、スケジュール表をメインに組み込んだオリジナルの「できたこと手帳」や「自学ノート」といった独自のアイテムを活用しています。生徒は、終礼の冒頭の10分間に「一人作戦会議」を行い、放課後から帰宅後までの学習計画を「できたこと手帳」のTO DOリストに記入するところから始めます。その計画に沿って学習した内容を「自学ノート」に書き込み、翌朝、「自学ノート」「できたこと手帳」を提出すると、担任はその内容を確認し、返却するという流れです。こうした毎日のサイクルによって、自学自習を習慣化しているそうです。

 グローバル教育にも熱心です。英語は習熟度別クラスで学びますが、中1は、帰国生・国際生が対象の「SSコース」と、英語学習経験のある生徒が対象の「経験者コース」とに分かれます。海外研修は、英語圏だけでなく、アジア圏でもPBL型のプログラムを開催しているのが特徴です。たとえば、30年以上続く同校独自の「タイ研修旅行」(高1~3の希望者対象)では山岳少数民族と交流しながらボランティア活動に励みます。また、「ネパールMoG」(中3~高3の希望者対象)では、現地の社会起業家と協働してソーシャルビジネスの支援活動などを行います。さらに、ニュージーランド、アメリカ、カナダ など海外提携校への長期留学制度も設けています。今年度は、ニュージーランドに過去最多の12名が留学しています。

 体験学習としては、中2~高2を対象とした全員参加の宿泊行事を年1回実施しています。内容はプロジェクトとしての実践を兼ねたものです。たとえば、新潟県糸魚川市を訪れる「農村体験学習」(中3)では、農家の方との田植え体験や、植林体験を通して森林組合と交流します。第一次産業の現状や、社会課題について考えを深める良い機会になっています。また、高1では、地方創生に取り組むソーシャルデザインキャンプが社会とのつながりを模索する場となっています。

 2021年度からはICT教育の環境も拡充しています。中1では、独自科目として「情報プログラミング」を導入しました。生徒は現代に必要な情報リテラシーのほか、3Dプリンタを使ったものづくり、動画作成のプログラミングなどのスキルを身につけます。また、隣接する同じ法人の女子聖学院中学校高等学校や聖学院小学校との連携による「SDGsプロジェクト」も展開しています。SDGs達成に向けて、生徒が主体となり、「菜園コンポスト」「エネルギー」「資源循環」「フードロス削減」などをテーマとして活動に取り組んでいます。

イメージ写真 キャンパスはJR・東京メトロ「駒込」駅から徒歩約5分の閑静な住宅街にあります。毎朝始業前に全校生徒が講堂に集まり、15分間ほどの礼拝が行われています

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