受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京都立両国高等学校附属中学校

2024年9月18日(水)

専任教員による質の高い授業で
「自律自修」の姿勢を身につける

 東京都立両国高等学校の前身は、1901年に設立された東京府立第三中学校です。戦後は新制高等学校となり、1949年に共学化されました。1950年に都立両国高等学校と校名を変更し、2006年に附属中学校を開設しました。そして、2022年からは高校募集を停止して完全中高一貫教育校となりました。

 校内で開催されたこの日の説明会で、校長の金田裕治先生は、校訓「自律自修」に触れながら、「生徒たちには、わかりやすく、『みずから考え、学ぶ姿勢を身につけましょう。そのためには健康でなくてはなりません』と伝えています」と述べました。「めざすべき生徒の将来像」としては、「自らの未来を切り拓く意欲と行動力をもち、リーダーとして活躍できる生徒」「広く深い教養と知性を身につけ、社会に貢献しようとする高い志と使命感をもった生徒」「健やかな心と体をもち、世界的視野をもって国際社会で活躍できる生徒」の三つを掲げています。その実現に向けて、「質の高い授業」の維持に努めてきました。それらを支えているのは、東京都の公募によって、「両国で教えたい」と集まった教員陣です。ほとんどの教科で専任教員がハイレベルな指導を行っています。

論理的な思考力を養う理系教育を実践
国際人の素養を養う英語教育にも注力

 特色ある教育活動として、金田先生が挙げたのは「理科・数学教育の充実」「志(こころざし)学(キャリア教育)の推進」「英語によるコミュニケーション能力の育成」の3点です。

 まず、理科では、中学段階から分野別に専門の教員が授業を担当します。「実験・観察を重視し、実体験に即した学びを通じて科学的思考力を養成します。時には発展的な内容も扱い、高校の学習内容への接続を円滑にしています」と話します。一方、数学では、習熟度別・少人数制授業を導入しており、授業前テストなどで基礎力の定着を図るとともに、グループワークを通じて解を導くまでの過程について生徒自身に説明させています。論理的な思考力も伸ばすのがその狙いです。

 総合的な学習の時間を使った「志学」は、道徳の授業・職場体験・学校行事を通して、望ましい職業観・勤労観を培うとともに、進むべき道を自分で決定する力を育てるキャリア教育です。一人ひとりがフィールドワークや校外学習をきっかけに社会問題に目を向け、興味・関心をひかれたテーマについて探究活動を行います。中3では卒業論文作成にも取り組みます。

 英語については、国際社会での活躍を視野に入れた指導を行っています。授業は日本人教員と外国人講師とによるチームティーチング形式で、英語を英語のまま理解できる力を伸ばしています。中3では、アメリカのユタ州を訪れるスタディツアー(海外研修旅行)も実施されています。「希望制ですが、ほぼ全員が参加します。現地の大学と連携しての英語学習、現地の中学生との交流やホームステイなどを通じ、アメリカの自然や文化を肌で感じると、英語学習のモチベーションが大いに上がります」と金田先生は言います。外部検定の受検も推奨しており、英語検定では中3生の約9割が準2級以上を取得しています。

イメージ写真 芥川龍之介や堀辰雄といった文化人や著名人を数多く輩出している伝統校。今夏には校舎内の空調工事が終わり、快適な学習環境が整いました

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