受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京都立三鷹中等教育学校

2024年10月17日(木)

可能性を広げる多彩なプログラムでVUCA時代に求められるリーダーを育成

 東京都立三鷹中等教育学校は、2010年にそれまでの三鷹高等学校を中高一貫校に改組して開校されました。基本理念に「思いやり・人間愛をもった社会的リーダーの育成」を掲げており、教科学習が充実しているだけでなく、行事やクラブ活動も盛んです。

 この日のオンライン説明会で、校長の小林正人先生は、変化が激しく、複雑で、先行きが不透明な、VUCA(Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性)の時代に求められるものとして、知識・技能・思考力・判断力・表現力・課題発見力・課題解決力・多様性・主体性の九つを挙げました。そして、「将来、これらの力を安定して発揮できるよう、本校ではその土台となる『人間性の育成』を重視しています」と述べました。

 教科学習を土台として国際理解教育・探究学習・ICT教育を行い、そこに行事と部活動をプラスしているのが特徴です。教科学習では講義だけではなく、主体的な学び、グループでの対話的な学びも大切にしています。授業は1日6コマが基本です。土曜日にも隔週で4コマの授業があります。後期課程(高1~3)では火・木を7コマとして、授業時数が多くなるようにカリキュラムを編成しています。また、「文化科学」などの独自教科を設け、教科横断的な思考力を育成します。学力差の生じやすい英語と数学は1年生(中1)から5年生(高2)まで少人数での習熟度別授業を展開し、補習も随時行っているそうです。

 課題を発見し、解決する力を育成する探究学習は、1・2年生(中1・2)では基礎力を、3・4年生(中3・高1)では思考力を、5・6年生(高2・3)では実践力を育成する場と位置付けており、「課題設定→情報収集→整理・分析→まとめ・表現」というプロセスを何度も経験させます。生徒たちが「知の文化祭」と名づけた学習成果発表会では、ポスターセッションを実施します。そこで発表された作品はこれまでに、千葉大学主催の高校生理科研究発表会奨励賞や高校生国際シンポジウム生物学分野ポスター部門最優秀賞などを受賞しています。「探究したことを発表するのが楽しいと感じる生徒が増えているのが何よりもうれしいですね」と小林先生は話します。

 さらに「国際理解を進めるためには英語の習得が不可欠」という方針の下、1・2年生の「校内留学」では終日、日本語の使用を禁止しています。3年生では希望者を対象に「海外ボランティア研修」が実施されています。5年生は海外修学旅行で台湾を訪れ、姉妹校の屏東高級中学の生徒と英語で交流を深めます。このようにして、「読む・書く・話す・聴く・やりとりや発表をする」の5技能をバランス良く育成しています。

 ICT教育については教科学習、国際理解教育、探究学習の下支えとなるよう、「中学生はタブレットPC、高校生はノートPCを自由自在に活用できるようにする」ことが目標とされ、学習活動でパソコンを使用する時間も取り入れています。

 行事や部活動も盛んで、特に合唱祭・文化祭・体育祭の三大行事は盛り上がります。文化祭はクラス単位で出し物をしますが、今年の3年生は学年全体でミュージカル『レ・ミゼラブル』を披露しました。終演後、感極まって涙を流す生徒もいたそうです。小林先生は「自分から進んで役割を得て、無事に責任を果たせたという喜びを感じ、思わず涙が出たのでしょう。部活動でも、試行錯誤しながら切磋琢磨しています。このような活動を在校中に何度も経験し、生徒たちは一回りも二回りも大きくなっていきます。本校の教育理念を達成するには、行事や部活動が不可欠だといえます」と述べました。

 最後に、2025年度の入学考査(適性検査)について説明がありました。今年度から男女別定員制から男女合同選抜制となり、募集人員は160人の予定です。小林先生は「出願はインターネットで行いますが、出願に必要な書類は郵便局留で郵送する必要があることにご注意ください」と呼び掛け、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 三鷹市にある武蔵野の自然を感じられる新しい校舎。年間18回すべての土曜授業を公開しています

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