受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

東京学芸大学附属世田谷中学校

2024年10月17日(木)

「基本学習」「総合学習」「生活学習」を柱として、現代社会に不可欠な資質を伸ばす

 1947年に開校した東京学芸大学附属世田谷中学校は、教育者を養成する東京学芸大学の教育研究および実証の場としての役割を持ちながら、中学生の普通教育を行う国立校です。附属の小学校と高校もありますが、それぞれが独立しており、中学単体での教育課程が組まれています。教育目標として「個性的で人間性豊かな人格をつくる」「創造性豊かな人間を育てる」「敬愛の精神に溢れた人間を育てる」の三つを掲げ、21世紀の社会を豊かに生きるための力を育てることをめざしています

 この日、SAPIX代々木ホールで行われた説明会であいさつに立った校長の前原健二先生は、「本校では学習指導要領に準拠した教育課程の下、専門性の高い教員による先進的でユニークな授業が展開されています。また、中学校教育で本来求められる人格や社会的能力の形成にも力を入れています」と話しました。

 続いて副校長の鈴木雄治先生が「本校での3年間で育てたいのは『人とかかわる力』『問題解決力』です」と述べ、具体的な教育内容について説明しました。同校では、基礎・基本の定着を徹底し、それを基に応用や発展を図る「基本学習」、テーマ研究や実習などに取り組む「総合学習」、学級活動や道徳などを通して社会性を養う「生活学習」の三つを柱にしています。鈴木先生は「基本学習では、東京学芸大学の最新研究が反映された応用的・発展的内容にも取り組みます。レポートやプレゼンテーションを多く課すなどして、表現力の養成にも力を入れています」と説明します。

 中2・3の総合学習で行う「テーマ研究」も特徴的です。生徒は学年・クラス・教科の枠を超えてテーマごとに集まり、生徒自身が設定した課題に挑戦します。鈴木先生は「本校は探究学習に長年取り組んできました。観察・実験・調査・討論・ものづくりなどを通して、生徒は『なぜ?』という疑問に向き合います。答えのない問いを自分で調べて、深く考える経験は生徒たちの将来に必ず役立つ貴重な経験になります」と述べました。

 生徒主体で運営する学校行事や委員会活動の紹介もありました。芸術発表会(文化祭)では、クラスごとの美術制作や合唱コンクールを行います。中2のスタディツアーや地学実習、中3の奈良・京都への修学旅行といった校外学習も充実しています。

 このような特徴的な教育は、A・Bの二つの時間割を隔週で実施することで可能になっています。どちらも木曜日は8時限まであり、生徒は2コマ連続の100分授業を1日4コマ(4教科)受けます。この時間は、技術・家庭、保健体育などの実技や実習を主とする教科のほか、理科の実験、国語の発表などといった活動的な授業に充てられています。

 附属高校への進学については毎年、世田谷・竹早・小金井の三つの附属中学を合わせた募集枠が設定され、同校からは例年、卒業生の半数以上が進学しています。鈴木先生は「本校では、高校受験のための特別な対策はしていませんが、進路指導として中1からキャリア教育を行っています。また、附属高校へは連絡進学制度がありますが、希望者全員が進学できるわけではないため、日常的に学習に取り組む姿勢が大切です」と強調しました。

 2025年度の学力検査は、例年どおり2月3日に実施される予定で、募集人員は男女合計約60名です。正確な人数は附属小学校からの入学予定者が決定した後に確定します。難問・奇問は出題されず、小学校で学ぶ基礎的な事柄が身についているかどうかを判断する内容となっているそうです。募集要項は同校のホームページからダウンロードできます。なお、2025年度から出願はオンラインのみとなります。出願後に写真票と自己推薦書を郵送することになるので、手続きに当たっては注意が必要です。

イメージ写真 附属小学校からの連絡進学生約80名と中学からの入学生約60名を混合し、4クラスに編成します。卒業生のうち附属高校に進学するのは約80名です

www.u-gakugei.ac.jp/~setachu/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ