受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

海陽中等教育学校

2024年9月14日(土)

寮生活を通して「社会で活躍するための能力」を育てる

 「将来の日本を牽引する、明るく希望に満ちた人材の育成」という建学の精神を掲げる海陽中等教育学校は、トヨタ自動車、JR東海、中部電力をはじめとする80社以上の大手企業の賛同を得て、2006年に設立された全寮制の中高一貫男子校です。東海道本線「三河大塚」駅から徒歩約20分の、三河湾に面した広大なキャンパスからは大海原を一望できます。

 SAPIX代々木ホールで開催されたこの日の説明会では、広報・生徒募集部長の近松貴史先生が「なぜ海陽学園なのか?」というテーマで、全寮制中高一貫校の魅力を語りました。その冒頭で、近松先生は「本校は、塾・学校・家庭・地域社会がそれぞれ個別に担ってきた教育的役割をすべて包括する学校をつくろうということで設立されました。生徒の学力と、社会で活躍するための能力の両方を伸ばし、自分の力を発揮して社会に還元しようという高い志を持った青年に育てることをめざしています」と述べました。「社会で活躍するための能力」としては、数字では表せない「対人能力」「問題解決能力」「自己管理能力」の三つを伸ばしていくことの重要性を強調しました。

 北海道から沖縄まで全国から集った仲間たちと生活を共にするハウス(寮)は、多様な価値観が混在する「ミニ社会」を体験できる学びの場であると近松先生は言います。また、親元を離れて清掃・洗濯・アイロンがけといった身の回りのことも自分自身でしなければなりませんが、これにより、時間を管理する力がしっかりと身につくそうです。ハウスには兄のような存在のフロアマスター(賛同企業が派遣する若手社員)が常駐し、家族のように生徒の生活を見守ってくれます。近松先生は「本校には、いつでも対面で語り合える友人、切磋琢磨できる仲間が、すぐそばにいます。寮生活は、規則正しい生活リズムの確立、自学自習の習慣化、チームワークの形成などにも大きな効果をもたらしています」と述べました。

 続いて、人間力を育成するための取り組みについて説明がありました。「海陽科」と呼ばれる探究活動では、5年間にわたり、時事調査のポスター発表から論集の制作までを行います。また、世界的な有識者による特別講義、第一線で活躍するプロフェッショナルによるキャリア講座、日本のものづくりの現場を知る工場見学の機会なども豊富にあります。将来の自分の基礎・基盤となる日常の実体験と、それをふくらませる特別な創造的体験を掛け合わせて、生徒たちは志を醸成していくそうです。

 卒業後の進路も気になるところですが、2024年度は、卒業生77名のうち6名が東京大学に現役で合格しました。全寮制ですから、その6名は学校のみで学びを深めたのです。また、海外大学6校にも合格者を輩出したとのことでした。

 最後は、入試概要に関する説明です。2025年度からは、入試I(12月21日に実施)と、入試Ⅱ(1月6日に実施)に同時出願した場合、受験料は合計2万円と、1回分と同額になります。また、特別給費生入試(12月14日に実施)の不合格者の中から「予約特待制度」の対象者を認定し、この制度の対象者が得点率が入試Iに専願で受験して合格した場合は、合格順位にかかわらず特待生に認定される制度も新設されました(合格発表後に専願に切り替えることも可能)。

 最後に、近松先生は「今後はAIやロボットが発達し、『人間がする仕事』はますます少なくなると予想されています。このような時代に、主体的に動く人間になるにはどうすればいいのでしょうか。親元から離れて、友だちや、社会で活躍するフロアマスターたちと共同生活を送るなかで、生き抜く力や突破する力を身につけなければなりません。そうした環境をお子さんに提供してあげることも、選択肢の一つではないかと思います」と語り、この日の説明会を締めくくりました。

イメージ写真 三河湾に面した13万㎡の広大なキャンパス。天体望遠鏡室を備えた中央棟、400mトラックや野球場を備えたグラウンド、蔵書数約6万4000冊の図書館など、充実した施設がゆったりと配置されています

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