受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

横浜女学院中学校

2024年10月4日(金)

体験を通して課題に向き合う探究プログラムで世界への視野を広げる

 横浜女学院中学校高等学校は「愛と誠」を校訓として、キリスト教の教えに基づいた人間教育を実践しています。1947年に横浜千歳女子商業学校と神奈川女子商業学校との合併により横浜学院女子商業学校・横浜女子中学校として創立され、1999年に現在の校名に改称しました。

 この日の説明会は、教務部長の鈴木俊典先生による教育内容の説明から始まりました。同校では、育成をめざす6領域12のコンピテンシー(資質・能力)を設定し、それらをコンテンツ(知識・技能)とともにバランス良く培うことをめざしています。鈴木先生が特に重点を置いて話したのは、同校が力を入れている探究教育についてです。その軸となるESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)では、中1から高2まで週1コマの授業を設けてSDGs(持続可能な開発目標)と探究活動を組み合わせ、問題解決に向けた思考力を養っています。「たとえば、中2では問いの立て方や探究の方法を学びながら、地域のボランティア活動にも参加し、狭くなりがちな自分の世界を広げます。さらに、中3では全員を対象とした『ニュージーランド海外セミナー』を通じて、学びの視野を世界へと広げていきます」と鈴木先生は語ります。高1では地元の元町商店街でのPR活動などに取り組み、高2では5年間の集大成として論文の執筆にも挑戦するそうです。

 生徒の興味・関心を高める多彩な探究プログラムを実施しているのも特徴です。たとえば、長期休暇中に開講する、教科横断型授業を取り入れた「探究DAY」や、学年を問わず参加できる課外活動「学びプロジェクト」などがあります。鈴木先生は「変化の激しい時代において、求められる学力も変わってきました。探究学習を通して、協働して新しいものを創造する力や、主体性・思考力・判断力・表現力などを育てていきたいと考えています」と強調しました。

 探究の土台となる「哲学対話」では、「友だちの意見を否定しない」というルールの下、中1から安心して議論できる空間づくりを行っています。そのため、生徒たちは問いを深く考え、自分を見つめ直すことができるようになります。また、校内外での経験を全校生徒の前で発表する集会「Assembly」も開催されますが、これは活動への思いや学んだことを共有する貴重な機会となっているそうです。

 同校の教室の机と椅子に使用されている木材の産地である宮城県大崎市の鳴子地区を訪ね、木の伐倒体験をしたり、林業を営む方々と交流したりするとともに、東北大学の最先端研究にも触れる「鳴子スタディツアー」や、今年度から開始される3泊4日の「対馬スタディツアー」の紹介もありました。鈴木先生は「生徒たちには、いろいろな場所に実際に足を運んで社会課題に向き合い、五感で感じたことをしっかりと言語化する力を身につけてほしいと考えています」と結びました。

 続いて、教頭の佐々木準先生が2025年度の中学入試について説明しました。同校では、国公立大学や海外大学をめざす「国際教養クラス」と、難関大学をめざす「アカデミークラス」の2コース制を導入しており、中学入学時に二つのコースに分かれます。ただし、高1および高2に進級する際には、本人の希望に応じてコースの変更も可能です。佐々木先生は「本校の入試は、合計得点率で合否を判定します。ここ数年のボーダーは、アカデミークラスが約60%、国際教養クラスが約75~80%です。途中点が考慮される問題も多いので、『あきらめずに書くこと』を大事にしてください」とアドバイスを送りました。

 最後に登壇した校長の平間宏一先生は、聖書のなかにある「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む」ということばを引用し、「苦労する経験がなければ、成長できないこともあります。そして、人は人のなかでしか成長しません。本校の生徒たちは、日々の生活を通して価値観や生き方を学び、挫折を経験しながらもそれを乗り越えて進んでいます」と力強く語り、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 教科の内容を英語で学ぶ学習法「CLIL」(内容言語統合型学習)を採用して英語力を向上させるほか、第二外国語も導入して異文化理解を深めています

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