受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

桜美林中学校

2024年9月27日(金)

103年にわたり多様性を尊重する教育を実践。2024年度の国公立大学合格者数は過去最高に

 桜美林学園の前身は、キリスト教宣教師の清水安三が1921年に中国・北京に設立した「崇貞学園」です。貧困に苦しむ子どもの自立を促すために建てられた学園ですが、敗戦により学校の存続が難しくなり、引き揚げを余儀なくされました。「日本に戻った後もキリスト教精神に基づく教育活動を継続したい」という思いの下、1946年に東京都の町田の地に開かれたのがこの桜美林学園です。開校以来、国際社会に目を向け、世界に貢献・奉仕できる人間の育成をめざしています。

 説明会の冒頭、校長の堂本陽子先生は、同校の強みについて、「キリスト教」「国際教育」「ダイバーシティ」「男女共学」というキーワードを挙げて説明しました。「本校は崇貞学園時代から、国籍や宗教などの異なる子どもたちに向けて学校運営を行ってきた、多様性の尊さを熟知する学校です。教育活動のなかにも多様性に触れる機会を多く設け、生徒の可能性を伸ばしていきたいと考えています」と力強く話しました。

 続いて、教頭の太田桃子先生が、同校のキリスト教教育について説明しました。4月のイースター礼拝、6月の花の日礼拝、10月の収穫感謝礼拝の様子を写真と動画で紹介し、「これらは信仰を強要するものではありません。『自分と同じように隣人も大切にしよう』というキリスト教の価値観を知るきっかけにしてほしいのです」と説明しました。

 国際教育にも熱心に取り組んでいます。中学3年の研修旅行では、全員でオーストラリアに行き、ファームステイを体験するほか、希望制のシンガポール短期留学(中2・3対象)、フィリピン・セブ島への短期語学留学(中3対象)なども人気です。また、7校ある海外の姉妹校とのつながりも強く、オーストラリアのエマニュエルカレッジとはホームステイをしながら11日間の交流を、韓国の順天梅山女子高校とは3日間のクラブ活動交流を行います。その影響か、最近は海外大学進学を希望する生徒が増えているそうです。太田先生は、中国の北京外国語大学やマレーシアのテイラーズ大学に指定校推薦枠があることを紹介し、「世界に羽ばたくためにも、このような制度を積極的に活用してほしいと願っています」と語りました。

 高校では「国公立コース」「特別進学コース」「進学コース」の3コースに分かれます。国公立コースを選んだ場合は、カリキュラムの特性から、途中でほかのコースに変更することはできませんが、特別進学コースと進学コースについては、進級のタイミングで変更が可能です。指定校推薦を利用できるのは進学コースの生徒に限られていることから、「高1・2は特別進学コースにいたが、『指定校推薦を使いたい』という理由により、高3から進学コースに移る生徒もいる」そうです。太田先生は、生徒の志望進路を手厚くフォローするシステムが整っていることを強調しました。

 2024年度の大学入試では、東京大学、一橋大学、お茶の水女子大学などの国公立大学に51名が合格し、過去最高の実績を残しました。また、今年度から、文部科学省が支援するDXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)に認定され、これまで高大連携を行ってきた北里大学や東京薬科大学などの理系大学とのつながりも強化されました。早期からアカデミックな学びに触れる機会が多くあります。

 最後に、入試広報の平澤直寛先生が、2025年度中学入試について説明しました。2月1日午前の教科別入試は2科4科の選択制ですが、まず国語と算数の合計点で合格者の3分の2を選抜し、その後、4科の合計点で残りの3分の1を決めるそうです。また、複数回受験者への配慮として、2回目以降の受験者には加点制度もあります。自身も中学受験経験者だという平澤先生は、「中学受験は“縁”です。皆さんがご縁のある学校に巡り合えるよう祈っています。それが本校であったら非常にうれしく思います」と締めくくりました。

イメージ写真 電子黒板を活用した公民の授業。生徒たちは「男」「女」と聞いて連想するワードを列挙していきます

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