受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

和洋国府台女子中学校

2024年9月14日(土)

女子の成長や特性に合わせた教育で、確かな思考力・発信力を育成

 和洋学園の起源は、1897年に堀越千代によって、東京・麴町に創立された和洋裁縫女学院です。千葉県市川市国府台に中学校と高等学校を設置したのは、戦後間もなくのことです。創立以来、実学教育に重点を置き、「女性の自立」をめざした教育を実践してきました。東京・九段にある和洋九段女子中学校高等学校は姉妹校に当たります。

 この日のオンライン説明会で、広報部長の本城敬造先生は「本校は女子の成長や特性に合わせた教育を大切にしています。国際社会で求められるインクルーシブ・リーダーシップは他者を巻き込み、組織をまとめ上げる力のことですが、そこには共感性や調和性が必要とされ、女子の特性に重なり合う部分がたくさんあります。本校では生徒一人ひとりに寄り添うていねいな教育によって、社会で活躍できるインクルーシブ・リーダーシップを培っています」と話しました。

 「凜(りん)として生きる」女性の育成を教育目標とする同校では総合学習の時間などを活用して、中1では書写・華道に、中2では邦楽(箏)に、中3では茶道・礼法に取り組みます。伝統文化を身につけて、日本人としてのアイデンティティーを確立し、グローバルに活躍できる「信念を貫いて行動する女性」を育てることをめざしているのです。

 英語教育では、「和洋ラウンドシステム」というメソッドを取り入れて、国際感覚と語学力の両方を身につけています。これは、反復練習によって基礎力を定着させる同校オリジナルの学習法です。教科書の内容を1年間で何回も繰り返し学習することが特長で、実践的なコミュニケーションに役立つ英語力を養成します。語学研修も多彩で、春休みにイギリスまたはイタリアを訪問する欧州文化研修(中3~高2の希望者対象)、豪州語学研修(高2の希望者対象)が行われます。説明会では授業動画も上映され、ネイティブ教員とともに和やかな雰囲気の中で英語力向上に向けて努力する生徒の様子が確認できました。

 中学での理科教育にも特長があります。「実体験から得る学び」を重視して中学3年間で約100項目の実験を行っているのです。観察からレポート作成までの一連の取り組みのなかで、観察力や科学的思考力を養います。こうした学びの成果で、最近では医療系、特に薬学部や看護学部への合格実績が伸びているそうです。

 高校進学後は、それぞれが希望する進路に合わせた3コースに分かれて学びます。高大連携7年制の「和洋コース」では、高校在学中から和洋女子大学の授業を履修します。履修した科目は大学入学後に単位として認定されるので、留学やインターンシップ、資格取得などに挑戦できるコースです。また、「特進コース」ではハイレベルな学力を培い、国公立大学や難関私立大学をめざします。そして「進学コース」には多様な選択科目が設置されており、志望校進学に必要な実戦的な学力を養うことができます。和洋女子大学への内部推薦については、進学コース生は専願・併願推薦が利用できます。特進コース生でも併願推薦が利用可能です。本城先生によると、中学からの入学者は、7割が進学コース、2割が特進コース、1割が和洋コースを選択しているそうです。

 高校での学びは、いずれのコースでも「探究学習」に力を入れていることが特長で、「WIQ」という同校オリジナルの問題解決型学習プログラムが実施されます。高1では、企業で行うようなインターンシップを教室で体験する「クエストエデュケーション」や日本文化について興味・関心を深める授業に取り組み、高2ではSDGs(持続可能な開発目標)をテーマとする個人研究を行います。そして、高3では論文作成に取り組んで発信力を育成しています。このように3年間を通じて、仲間と協働して正解のない問いに向き合う力を培います。

 ICTの活用も進んでおり、ホワイトボード、プロジェクター、Wi-Fiが全教室に完備されています。生徒は全員が自分専用のノートパソコンを所有し、オンライン授業の受講や課題の提出などで日常的に活用しています。

イメージ写真 江戸川を臨む緑豊かな高台にあるキャンパス。校舎には最新設備が充実しており、生徒たちは伸び伸びと学校生活を送っています

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