受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

カリタス女子中学校

2024年9月17日(火)

キリスト教の価値観を基盤とした「他者を思う心を育てる教育」を実践

 カリタス学園は、カナダにあるケベック・カリタス修道女会によって創設されたカトリック学校です。戦後日本の社会的緊急課題であった「学校教育の充実」に応えるため、日本に派遣された3人のシスターによって1960年に学校法人カリタス学園が設立され、翌1961年4月にカリタス女子中学高等学校が開校しました。

 この日の説明会では、最初に校長の萩原千加子先生があいさつに立ち、同校の教育の特色について述べました。キリスト教の価値観を基盤とする同校では、「他者を思う心を育てる教育」を大切にしています。全員参加の奉仕活動に加えて自主的な支援活動にも取り組み、毎朝の祈りの時間や週1コマの「カトリック倫理」の授業を通して、自分自身を深く見つめるひとときを持っています。また、カウンセリングルーム主導で、他者とのかかわり方を学ぶ「心の交流プログラム」や、昼食をとりながら新入生がカウンセラーと交流を深める「ランチセッション」も行われます。

 一方で、生徒の学ぶ意欲を高める学習環境も整っています。萩原先生は「4割が少人数クラスでの授業なので、誰がどこでつまずいているかがすぐにわかります」と話しました。たとえば数学のクラスでは、少人数制のメリットを生かし、週末の課題を教員がていねいにチェックしたうえで、火曜日の放課後に小講堂で質問対応を行う「学習デー」を設けています。また、成績不振者対象の指名制補習、学年の枠を超えた土曜講座、大学受験に直結する放課後講習も開講されています。

 創立以来、英語とフランス語の複言語教育を取り入れている点も大きな特徴です。中学では2言語とも必修で、高校進学時にいずれかを第1言語として選択します。中学入学時に英検®準2級程度の英語力を持つ生徒で編成される英語アドバンストクラスについては、“先取り”ではなく“深掘り”学習を実施しており、一般クラスからの移動は途中学年からでも認められています。海外研修はカナダ、マルタ、フランス、ニュージーランド、フィリピン(セブ島)など、さまざま地域で実施しています。生徒たちは自分に合ったプログラムを選び、在学中に1度は参加することになっています。

 続いて、萩原先生は「本校は生徒が中心となって動く学校です」と述べ、ペットボトル削減を目的とした冷水器の設置や、独自のスケジュール帳「カリタス手帳」の改訂、「夜の自習室」の開設など、生徒の提案によって実現した、いくつかの事例を紹介しました。さらに、「今年度から、スラックスを正制服として着用できるようになりました。この新たな制服の着用ルールも、生徒の声から生まれたものです。生徒たちは、自分たちの意見によって学校がどんどん良くなっていくことを実感しているはずです」と語りました。

 説明会の後半には、卒業生によるプレゼンテーションも行われました。現在、慶應義塾大学文学部に通うYさんは、中学受験時にカリタスを志望するきっかけとなった図書館や、職員室の役割を持つ「校務センター」などの魅力に触れながら、入学前に抱いていた不安が少しずつ解消されていった同校での学校生活を振り返りました。大学受験については、「長文を読解したうえでの小論文や、与えられたテーマについての記述が課される自己推薦型の入試を利用しました。高3の9月からという短期間の対策で合格できたのは、全校生徒が参加する『学芸コンクール』や、高1での『年間研究レポート』などで、中高6年間にわたって多くの文章を書いてきたおかげだと思います。自分の頭で論理構成を考えて文章を書く力は、大学入学後にも役立っています」と述べました。

 2025年度の中学入試に大きな変更点はありませんが、現在小学5年生が受験する2026年度入試からは、理科において「力のつり合い」または「電気・磁気」をテーマにしている問題について、「毎回出題する方針を取りやめる」ことが伝えられました。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 大きな窓から自然光が差し込む校舎の中心にある図書館。ガラス張りの明るく開放的な空間には4万冊以上の蔵書があり、生徒たちの豊かな学びの場となっています

www.caritas.ed.jp/ 別ウィンドウが開きます。

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