受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

静岡聖光学院中学校

2024年7月30日(火)

未来を織り込んだ学びで「未来を創造できる人材」を輩出する

 神奈川県にある聖光学院と同じキリスト教教育修士会をルーツに持つ静岡聖光学院は、静岡県内で唯一の中高一貫男子校です。「カトリック的世界観に立つ人類不変の価値を尊重する人格の形成、あわせて高尚かつ有能な社会の成員を育成する」という建学の精神の下、どんな未来でも「地の塩、世の光」となり、自らの個性を活かして未来を創造できる人材の育成に努めています。駿河湾や富士山を一望する丘の上のキャンパスには、ボセジュール寮(中1・2)とル・セール寮(中3~高3)という二つの生徒寮があり、県外からも首都圏を中心に多数の入学者を集めています。

 この日のオンライン説明会では、教頭の田中潤先生が同校の特色について説明しました。聖句「地の塩、世の光」を建学の理念に掲げ、その実現のために初代校長のピエール・ロバート先生が「快活と素朴」「思慮深い心」「探究心に基づく緻密さ」「真摯な態度」を訓育目標に定めました。田中先生は「今から55年以上前に作られたこの訓育目標は、本校の教育に今も生き続けており、普遍的な意味を持つものです」と述べました。

 同校では、生徒一人ひとりの学びに天井をつくらず、夢を実現するための学習支援・進路指導体制を整えています。知識定着と基礎学力向上を促すだけでなく、難関大学の受験指導にも対応した学習支援、旺盛な知的好奇心を受け止めるSTEAM教育や探究活動、「海外に飛び出していきたい」という願いをかたちにする英語教育・進学指導など、学びとキャリアが結びついた6年間の教育プログラムがデザインされています。

 その特徴として挙げられたのが、多くの知識を得て定着させる「20世紀型の学び」と、それらをアウトプットして活用する「21世紀型の学び」の両方を重視している点です。各教科の授業は、性質の異なる三つの要素「Ideas(アイデア)」「Connections(つながり)」「Extensions(応用)」によって構成されており、英語・数学は中2から習熟度別授業を導入しています。また、先取り学習も行われ、英語・数学・国語は中3から高校の内容に入ります。

 学習支援も充実しています。英語・数学の「朝学習」では、タブレットを使って確認テストを解くと、その解答を通してAIが各生徒の苦手分野と得意分野を解析します。個別最適化された演習問題が次々と出される「アダプティブ・ラーニング」と呼ばれる仕組みで苦手をつぶし、得意なところをさらに伸ばしていきます。この「アダプティブ・ラーニング」は、ふだんの授業だけでなく、長期休暇中に開講される各種講習などでも実施されています。

 また、放課後学習サポートとして、校内に「ASG(After school Special Guidance)センター」を設置し、週2回、中1~高1の寮生と希望者を対象に個別学習支援が行われます。専門職員が常駐しているので、苦手克服はもとより、発展学習にも集中的に取り組めるそうです。田中先生は「寮生活を通して、着実に学習習慣が形成されます。寮で生活している高2生は小テストの得点率も非常に高く、定期テストで出題される難関私立大学レベルの問題も7~8割正答しています」と述べました。

 神奈川県の聖光学院とは、さまざまな活動で連携しています。高2・3を対象とした夏期合同講習、医学部志望者向けの進路相談などに同校の生徒も参加しているとのことです。

 最後に、寮についても説明がありました。各学年とも約25~30%が寮生です。田中先生は「1部屋あたり2~4人で生活します。部屋割りはローテーションがありますが、これは部屋の整理整頓のきっかけになると同時に、新たな人間関係を築く機会にもなります」とも話しました。

イメージ写真 「学びに天井をつくらない」ためのカリキュラムが実を結び、2024年春は、国公立大学、医学部医学科、難関私立大学のほか、海外大学にも合格者を輩出しています

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