受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

女子美術大学付属中学校

2024年7月6日(土)

専門的な美術教育と教科横断型の学びを柱に「智の美」「芸(わざ)の美」「心の美」を育む

 「芸術による女性の自立」をめざして1900年に創立されたのが女子美術学校(現・女子美術大学)です。その附属高等女学校が1915年に開校し、現在の女子美術大学付属高等学校・中学校に発展しました。「美術をとおして、我が国の文化に貢献する有能な女性を育成する」という教育理念を実践するため、美術教育のパイオニアとしてさまざまな改革を推進しています。

 説明会の冒頭、校長の石川康子先生は、同校を受験するための唯一の条件として、入学後の力となる「ものづくりや、絵を描くことが好き」という思いを持ち続けられることを挙げました。そして、「中学入試では実技試験を行いません。『美術が好き』という思いさえあれば、小学生の段階で技能が伴わなくても、中高6年間でしっかりと伸ばしますのでご安心ください」と語り掛けました。

 中学校では、文部科学省が定めた教科・科目に加え、高校・大学への一貫性を考慮した美術の授業が週4コマ実施されます。高校は「知性が感性を支える」という同校の美術教育の方針にのっとり、普通科(普通課程)となっています。石川先生は、今後の社会や経済活動で求められる思考として、使う人、買う人のニーズをふまえてさまざまなものを企画・提案する「デザイン思考」と、何もないゼロの状態から自由におもしろいものを作り上げていく「アート思考」の二つを挙げました。「系列の女子美術大学では、作家やデザイナーとしての表現力はもちろん、独創的な企画やこれまでにないニーズをゼロから生み出せる能力も育てようとしています。学校説明会や女子美祭に足を運び、個性豊かな生徒たちの様子をご覧ください」と結びました。

 続いて、広報部主任の並木憲明先生から、学校概要の説明がありました。教育目標に「智の美」「芸(わざ)の美」「心の美」を掲げる同校では、特定の教科に偏らず幅広く学ぶリベラルアーツを重視したカリキュラムの下、知性と感性の両方を伸ばしています。また、さまざまな教科で美術の要素を取り入れた教科横断型の授業を実践しているのも特色です。英語と美術を融合したオリジナル授業「Art English」では、英語科の日本人教員とネイティブ教員がチームティーチングで指導し、グローバルに活躍できる表現力を磨いていきます。

 進路については、卒業生の約90%が美術系の大学・学部に進学し、そのうち約80%が女子美術大学・同短期大学部に推薦で進学しています。一方、美術系以外を志望する場合は、高3時の美術の授業(週10コマ)をすべて受験に必要な教科・科目に変更できます。受講希望者が1人でもいる教科・科目は、すべて開講されるとのことです。

 続いて、美術科の浜田涼先生が美術教育について詳しく紹介しました。校舎には美術室10室、CG室1室を備え、中学生のための絵画室やデザイン室などもあります。美術科の教員は18名在籍しており、絵画、デザイン、工芸・立体など専門が異なるため、それぞれの分野をていねいに指導しています。中学の美術の授業は週4コマあり、風景画・静物画・工作・染物・陶芸・木工などの課題に取り組むことで、「美術が好き」という気持ちを大きく育てます。高1では週7コマ(絵画2、デザイン2、工芸・立体2、美術史1)、高2以降は週10コマに増え、「絵画コース」「デザインコース」「工芸・立体コース」に分かれてより専門的に学びます。集大成となる高校の卒業制作展は東京都美術館で開催され、例年、約3000人が来場するそうです。

 最後に、入試に関する変更点が伝えられました。2025年度は第2回の試験日が2月2日午後から2日午前に変更となります。詳細は、9月に公開予定の最新の募集要項をご確認ください。

イメージ写真 来年、創立110年を迎える同校。東京メトロ丸ノ内線「東高円寺」駅から徒歩約8分の閑静な住宅街にあります

www.joshibi.ac.jp/fuzoku/ 別ウィンドウが開きます。

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