受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

湘南白百合学園中学校

2024年6月26日(水)

20年前から推進している探究学習で、「発展的に考える力」を育てる

 湘南の海を見下ろし、江の島から富士山を一望できる緑豊かな高台にキャンパスを構える湘南白百合学園中学・高等学校は、フランスのシャルトル聖パウロ修道女会を母体とする完全中高一貫校です。1936年に幼稚園、1937年に小学校、1938年に現在の中学・高等学校に当たる高等女学校がそれぞれ開校しました。それ以来、「愛ある人として、キリスト教的価値観のもと、国際社会の平和と発展に寄与しようと、様々な分野へ踏み出す女性」「論理的思考力、深く探究する力を身に付け、高い言語能力を有して多様な人々と協働する女性」の育成に努めています。

 この日、あいさつに立ったのは、今年4月に校長に就任した岩瀬有子先生です。数学を教えていた岩瀬先生は、同校の強みは「授業力」にあるとして、「時代とともに教育のトレンドは変わりますが、今も昔も、その要は『授業』です。本校では、東京学芸大学の指導の下、すべての教科で授業研究会を行ってその質を高め、生徒の力を引き出すことを重視しています」と話しました。

 生徒の知性を高める授業とともに、同校が力を入れているのが、カトリックの教えを基盤とした人格教育です。すべての学年で週に1時間「宗教倫理」の授業を実施し、多様な考え方を持つ他者を尊重する精神について学びます。岩瀬先生は「将来、社会貢献をみずからの喜びとして成長していくためにも、生徒自身が『愛されている』『大切にされている』と実感できる学校づくりをめざしています」と述べました。

 続いて教頭の水尾純子先生が登壇し、学校概要について詳しく説明しました。同校の特徴は、卒業まで文理分けをせず、同じクラスにさまざまな進路をめざす生徒が混在する「自然学級」で学びを進めている点です。この意図について、水尾先生は「多様性を大切にして、さまざまな個性や強みを持つ生徒同士で学び合ってほしいという考えからです」と語ります。英語と数学は中1から20~30名の少人数クラスできめ細かく指導を行い、英語は中2から、数学は中3から習熟度別授業が始まります。また、こまめに小テストを行い、理解が不足している生徒は個別に呼んで、次の授業までにわからないところを解消させるようにしています。

 座学で基礎学力を固める一方で、ディスカッションやグループワークなど、生徒みずからが主体的に動いて「なぜ」「どうして」を追究する問題解決型の授業も重視しています。水尾先生は「問題解決型の授業は、学びのモチベーションを引き出し、発展的に考える力を育てるうえでとても効果的です。『どうしてこういう結論になるのか』『もっと自分で考えてみたい』とわくわくしながら学んでいる生徒の姿が見られます」と話します。

 探究学習も、約20年前から推進しています。中1から高2まで、週に2コマを探究学習に充てており、昨年度からは、お茶の水女子大学の「サイエンス&エデュケーション研究所」との連携をスタートさせました。そこでは、中3生全員が大学の先生の前で自身の研究テーマと実験計画についてのミニプレゼンテーションを行い、得た助言を基に、その内容をブラッシュアップさせていきます。水尾先生は「先生方からポジティブなアドバイスをいただいて、生徒たちの顔つきが明らかに変わったのが印象的でした」と感想を述べました。そして、「最近は探究の時間に培ったスキルを生かし、英語のディベート大会や模擬裁判選手権で活躍する生徒や、国公立大学に学校推薦型選抜で合格する生徒も増えています」と続けました。

 説明会の最後には、この4月に同校に入学したサピックス卒業生4人が登壇し、受験生に向けて次のようなエールを送ってくれました。「湘南白百合学園は、生徒同士の仲が良く、どんな子でも輪の中に入れる学校です。皆さんの入学をお待ちしています」

イメージ写真 図書館とPC教室を融合した「メディアネットラボ」は、書籍やインターネットを使って幅広い調べ物ができることから、探究学習の拠点として活用されています

chukou.shonan-shirayuri.ac.jp/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ