受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

暁星中学校

2024年7月12日(金)

キリスト教の精神に基づき多様性を認め、一人ひとりの人格形成を大切にする教育を実践

 暁星学園は1888年、フランスとアメリカから来日したカトリック男子修道会・マリア会の宣教師によって、外国人居留地であった東京・築地に設立され、1890年に現在の地に移転しました。それ以降130年以上にわたり、キリスト教の愛の理念に基づく全人教育を行っています。東大をはじめとする最難関大学や医学部医学科に毎年多くの進学者を輩出する男子進学校としても知られ、この春は卒業生153名のうち、東大を含む国公立大学に23名、早慶上理に122名、医学部医学科に36名が現役合格しています。

 説明会の冒頭、あいさつに立った校長の髙田裕和先生は、同校の歴史と沿革に触れながら、「日本が新しく生まれ変わる明治という時代に、世界に通じる人材を育てたいとの要請を受けて開校した学校です。1世紀以上の月日のなか、社会のニーズに応える変革は行ってきましたが、『多様性を重んじ、人格形成を大切にする』という指針は変わりません。本校の教育は、学力を伸ばすだけのものではなく、『人としてどう生きるべきか』『自分が受けたものをどうやって他者のために使うか』を考えさせるものです」と述べました。

 創立当初から英語とフランス語を必修科目とし、多言語・多文化主義の教育を実践しているのも特徴です。中学入学時に、どちらか一方を第一外国語として選択すると、もう一方は第二外国語となります。2022年度より「エトワールコース」と改称された、フランス語を第一外国語とするクラスは、週6コマがフランス語で、週2コマが英語圏出身の外国人教師による英語の授業に設定されています。広報部長の川奈部智久先生は、「入門者から段階的にレベルを上げて、オールフレンチでの授業に移行していきます。フランス語検定の取得も推奨し、提携校のフランス人学生やフランス在住の暁星OBとの交流などを通じて、世界で通用するフランス語能力を身につけていきます。フランス大使館が支援する交換留学制度もあります」と説明します。フランス本国が推奨している教育プログラムを採用しているため、フランス語圏の地理や歴史、文化についても学びます。また、年10回ほど企画される「エトワール活動」では、美術館や博物館の見学、映画館でのフランス映画鑑賞などを行い、フランスの文化を肌で感じる場となっています。

 一方、英語を第一外国語とする場合は、フランス語が週2コマで、英語が週6コマとなります。そのうち2コマはネイティブの英語教員が担当します。英語科の高橋秀彰先生によると、「中学では緩やかなグレード別で授業を行っていますが、進度やテストは同一です。家庭学習にも使える英語学習アプリを導入し、リスニング力・スピーキング力を強化しています。高校ではエッセイライティングの授業を年に3回行い、ネイティブ教員による添削指導によって、英語で的確に表現する力を磨きます。GTEC®やケンブリッジ英検といった検定試験の受検を推奨し、難化する大学受験にも対応できる力をつけていきます」とのことでした。

 最後は恒例となっている在校生インタビューです。この日はサピックスから同校に進学した中2生と高2生の2人が登壇し、部活動やフランス語の学習など、各自が取り組んでいることを朗らかに紹介しました。1学年約180名の生徒のうち、暁星小学校からの内部進学者が5割以上を占めることにも触れ、「入学前は少し不安でしたが、内部進学生は明るく優しい人が多く、すぐに仲良くなれました」と、受験経験者ならではの意見を発していました。最後は「基礎を固めれば応用も解けるようになります。『漢字の要』や『コアプラス』、算数の基礎力トレーニングなどをおろそかにしないようにしましょう」「体調を崩してしまっては、入試本番で実力を発揮できません。学習時間が増えて大変だと思いますが、規則正しい生活を心がけてください」といった受験生に向けたアドバイスで締めくくりました。

※「GTEC」は、株式会社ベネッセコーポレーションの登録商標です。

イメージ写真 年5回の定期試験と年3回の実力試験で学力を測定しながら、長年のデータに基づいた進路指導を実施します。夏期講習や放課後講習なども開講して、学習をサポートする体制を整えています

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