受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

中央大学附属中学校

2024年7月12日(金)

「自主・自治・自律」をモットーに主体性を尊重し、“知的なたくましさ”を育てる

 1909年設立の旧制目白中学校を前身とする中央大学附属高校が現在の小金井の校地に移ってきたのが1963年のことです。2001年には男女共学化され、2010年には中学が開校しました。そんな同校は、都内に3校ある中央大学の附属校のうち、唯一の中高一貫校です。「自主・自治・自律」をモットーに生徒の主体性を尊重する教育を展開して、“知的なたくましさ”を育て、中央大学での学びへとつなげています。

 説明会の冒頭、中学校教頭の牧野良介先生から、中学校生活についての説明がありました。中学3年間を「高校・大学を経て社会人として成長していくための基盤づくりの時期」と位置づけ、同校では開校以来、さまざまな体験を日々の学習に取り入れています。生徒が自主的に学び、他者を尊重するなかで、答えのない問題に取り組む力を身につけるのが狙いです。

 学習面では、一部の教科で先取り授業を行っています。数学では、中2で中学3年間の内容を学び終え、中3からは高校の内容に入ります。そのため、高校からの入学生と中学からの内部進学生とは、高1では別クラスで学ぶことになります。

 グローバル教育にも力を注いでいます。中1から、週6コマの総合英語の授業に加え、ネイティブ教員と日本人教員とによるオールイングリッシュで学ぶ「Project in English」を、週1コマ展開しているのはその表れです。中1は「学校生活について」、中2は「日本の地域について」、中3は「日本について」というテーマに沿ってグループで調査し、英語で発表します。この授業は高校では週2コマになり、食糧・環境・資源など、国際的な社会問題を発表テーマに設定し、高度な英語力と表現力を身につけていきます。

 国際理解教育としては、中1の希望者を対象とした校内での「English Camp」などの国内研修や、中3の希望者対象のイギリスまたはオーストラリアでの交流プログラムが実施されているそうです。牧野先生は「入学時にABCから始め、段階的に英語学習を進めていきますが、中学課程を修了するまでに、約90%の生徒が英検®準2級以上を取得します。そのうち20%は2級への合格です」と、その成果について述べました。

 体験型学習では、中3で中央大学ロースクール訪問を実施します。また、食育の一環として日本の郷土料理や世界各国の料理などをクラス単位で味わい、食文化について学ぶ「スクールランチ」も、全学年で各学期に4~5回行われています。中学3年間で合計60冊、さまざまなジャンルの本の読破を求める「課題図書」もあります。これは、学習のベースとなる取り組みで、牧野先生は「読書の習慣を身につけるだけでなく、多角的な視座を持つためにも役立っています」と強調しました。

 次に、副校長の大島誠二先生から、中高大連携プログラムについて説明がありました。同校では、「行動する知性」を掲げる中央大学への進学を前提にカリキュラムが設定されています。なかでも、中3から始まる「教養総合」は、将来、大学や社会で求められる、「みずから考え、行動していく力」を身につけるための学習プログラムです。中3では「問いを立てるとは?」をテーマに、1年がかりで探究学習に取り組み、高校での学びの土台をつくります。高1では大学の学問領域に結びつけながら、みずからの興味・関心について、じっくりと考察します。高2では国内外での実地調査を含めた探究学習を行い、高3では学びの集大成として、文系クラスの生徒は卒業論文、理系クラスの生徒は卒業研究という形にまとめます。

 中央大学への進学枠は卒業者数の約9割で、例年、1割前後が他大学に進学しています。内部推薦の選考は、高校3年間の全科目の学業成績によって順位がつけられ、その優秀者から希望する学部・学科を選んでいく仕組みです。中央大学への被推薦権を保持したまま他大受験が可能な併願受験制度もあり、国公立大学はすべての学問領域で、私立大学については、医学部など中央大学では学べない学問領域に限って、被推薦権を持ったまま受験ができます。他大学進学者は、指定校推薦も含め、みずからの意思で中央大学以外を選択する者が大半です。2024年春の卒業生のうち、3名が併願受験で国公立大学への進学を果たしています。

※英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

イメージ写真 服装規定のない高校とは異なり、中学では「中附スタイル」と呼ばれる制服で学校生活を送ります。ブレザーやシャツなどは数種類のなかから自由に選んでコーディネートできます

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