受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

二松学舎大学附属柏中学校

2024年7月6日(土)

「論語」による人間教育と「自問自答」を促す探究型の学びで、グローバル人材を育成

 東京都千代田区と千葉県柏市にキャンパスを構える二松学舎大学の母体は、漢学者・三島中洲が1877年に創設した漢学塾「二松学舎」です。創立90周年記念事業の一環として、1969年に現在の千葉県柏市に開校した附属沼南高等学校は、2011年に現校名に改称するとともに中学校を設置して中高一貫教育を開始しました。2022年からは「グローバル探究コース」と「総合探究コース」の2コース制を導入し、150年近い伝統を守りながらも、21世紀の学びを追求する革新を進めています。

 オンラインで開催されたこの日の説明会で、入試広報部の土屋圭司先生は、校訓「東洋の精神による人格の陶冶」「己を修め人を治め一世に有用なる人物を養成す」について、「創立者が唱えたこのことばを『自国の文化を正しく理解し、母語を正しく表現できる国際人を育てる』という意味に置き換え、グローバル化が進む社会において、多様な価値観を尊重できる真の国際人の養成に努めています」と述べました。

 具体的な取り組みについては、「人間力の向上」「学力の向上」という二つの教育目標を挙げながら説明しました。

 一つ目の「人間力の向上」をめざして、同校が力を注いでいるのが「論語教育」です。中1では儒教の経典「論語」の素読・暗唱に取り組みます。高校ではオリジナルテキストを使用して漢文を学び、学年ごとに論語・漢詩の検定試験にも挑戦します。土屋先生によると、論語の三徳とされる「知」「仁」「勇」は、あらゆる学校活動のベースになっているとのことです。

 二つ目の「学力の向上」は、具体的には「学習支援プログラム」「自問自答プログラム」「進路支援プログラム」を軸とした探究教育で、思考力・判断力・表現力・コミュニケーション力を鍛えていくということです。「学習支援プログラム」には、生徒自身が内容を決めて毎日1ページの家庭学習に取り組む「365ノート」の提出、毎朝25分間の「モーニングレッスン」の受講、自学自習や学び合いをサポートする「放課後学習センター」の設置といった取り組みが含まれ、これらを通じて主体的に学ぶ姿勢と学力の養成に努めています。「自問自答プログラム」では、同校から徒歩圏内にある手賀沼近くの田んぼで、田植えや稲刈りを含む農作業を体験する「田んぼの学習」を実施します。ほかにも、「沼の教室」「都市の教室」「雪の教室」「古都の教室」「世界の教室」などの体験型の校外学習行事が多数あります。土屋先生は「体験を通じて社会への視野を広げ、深めた考えを発信する活動につなげていきます。そして中3では、探究論文『自問自答』を書き上げ、発表します」と説明しました。加えて、キャリアガイダンスや各分野の専門家を招いての講演会やワークショップ、二者・三者面談など、将来をイメージするための「進路支援プログラム」も充実させています。

 さらに「グローバル探究コース」では、四つのプログラムで構成される「NISHO GLOBAL PROJECT」に基づき、グローバルな視点を育む探究活動に取り組みます。一つ目の「アワーアクションプログラム」では、週2回、7時限にSDGsを題材に学ぶ「グローバル」の授業があり、社会問題の解決策を考えます。二つ目の「特別体験プログラム」では、「コミュニケーションワークショップ」などの体験型学習を、三つ目の「パワーアップイングリッシュプログラム」では、オールイングリッシュの英語集中講座をそれぞれ設けています。そして四つ目が「海外研修プログラム」で、ブリティッシュヒルズ研修(中1)、オーストラリア研修・セブ語学研修(中2)、カナダ研修(中3)といった実践の場が設けられています。土屋先生は「解決に向けて提案したアイデアは実践にもつなげてほしいという思いを込めて、コースのスローガン は“Be a change-maker(変革者たれ)”としました。フィリピンのスラム街に古着を送るプロジェクトなど、生徒主体の活動も始まり、頼もしさを感じています」と語りました。

イメージ写真 豊かな自然に囲まれたキャンパスでは環境を生かした学びを実践。鳥や水の研究を継続的に行い、探究活動につなげています。また、「論語」を学び、自分を見つめる時間も多くあります

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