受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

光塩女子学院中等科

2024年6月28日(金)

一人ひとりを見守る共同担任制。キリスト教を基盤とした女子教育で自己肯定感を育む

 スペインのカトリック・メルセス宣教修道女会を設立母体として、1931年に設立された光塩女子学院は、1学年約150名の“目と手が行き届く”教育環境の下、一人ひとりの個性を尊重するカトリックの教えを基盤とした女子教育を実践しています。

 校名の由来となっているのは、聖書にある「あなたがたは世の光、あなたがたは地の塩である」とのことばであり、これが建学の精神でもあります。説明会に登壇した校長の烏田信二先生は、「光も塩もなくてはならないものです。人は誰しも、なくてはならない“かけがえのない”存在であり、光と塩のように、神からたまわった使命を果たすことが大切だと説いているのです」と説明しました。その実現に向けて、同校では成長段階に応じた学年目標を掲げています。中1の学年目標は「自分との出会い」です。学期ごとに行われる面談、倫理の授業、オリエンテーション、夏の山荘生活などの学年行事を通じて、等身大の自分を見つめ、自己肯定感を高めていきます。「自分と他者との関わり(中2)」「社会の中での自分(中3)」「自然の中での自己発見(高1)」「社会の中での自己発見(高2)」とステップを上がり、最高学年である高3では「Women for Others(他者のために生きることを喜びとし、自分の将来を考える)」の下、自己実現に向けてまい進していきます。

 同校では2022年度より、学習のさらなる充実をめざして、三つの指針からなる「光塩MANABIプロジェクト2022~2024」を進めてきました。一つ目の「授業改善」では、授業参観後の保護者から集めたアンケートも参考にしながら、ICTの活用や探究活動のあり方について、教員を対象とした研修などを実施して、魅力的な授業をめざしています。さらに上智大学、津田塾大学、日本女子大学と高大連携協定を結び、大学での学びを体験できるプログラムの拡充にも努めています。二つ目は「自習室・放課後・特別講座の充実」です。自習室を放課後に自由に活用できるのはもちろん、長期休暇中には卒業生がそこで学習サポートに当たっています。毎週水曜日の放課後には英語・数学の指名制補習や、教科や学年の枠を超えて深い学びに触れる「特別講座」も開講されます。そして、三つ目は昨年度設置された「ラーニング・コモンズ」です。前校長の佐野摩美先生から寄贈された2000冊に及ぶ蔵書を活用するとともに、グループワークやプレゼンテーションに適した設備が整えられています。

 続いて、学習内容の説明は、教務主任の村上裕幸先生が担当します。特徴的なのは、1人の教員が1クラスの担任を務めるのではなく、1学年4クラスを担当教科も年齢も違う6人前後の教員がチームで担当する「共同担任制」をとっている点です。「生徒は、相性の良さや相談内容に合わせて“話す先生”を選べます。若手教員もベテランのサポートを受けて教員として成長できますし、チームとして互いの足りない部分を補い合うことができます。また、教員同士が互いに協力し合う姿を生徒たちが日常的に目にするので、他者とのかかわりを学ぶうえでも好影響をもたらしています」とのことです。カリキュラムは新学習指導要領で示された学力の3要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力など」「学びに向かう力、人間性など」を意識して編成されています。特に中等科では英単語や計算などの小テストの実施や、習熟度別授業(英語・数学)の導入によって、基礎をしっかりと固めていきます。続く高等科では、高1では基礎力養成のため全員が共通カリキュラムで学び、高2からは希望進路に合わせて選択授業で対応します。さらに、生命倫理、教育格差、異文化理解など社会的なテーマについて考察する「教養演習」や、数学・理科・情報の教科横断的な課題に取り組む「理数探究基礎」といった思考力や表現力を高めるプログラムもあります。近年では理系志望者が増え、文系・理系の比率はおよそ1対1となっているそうです。そのような背景から、2025年度は2月1日午後に算数1科入試が新設されることも発表されました。また、2月2日・3日に行われていた面接が廃止され、その代わりに全日程でアンケートが実施されます。詳しくは、学校ホームページをご確認ください。

イメージ写真 校舎の前に広がる人工芝のグラウンド。クラブ活動は週2日と制限がありますが、中学生の約9割、高校生の約7割がいずれかの部に所属しています

www.koen-ejh.ed.jp  別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ