受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

獨協中学校

2024年6月20日(木)

語学教育から国際交流、環境教育まで幅広い学びに触れ、教養と理性を育む

 明治時代の啓蒙思想家・西周(にしあまね)を初代校⻑として1883年に創立された「獨逸学協会学校」を前身とする獨協中学校・高等学校は、国内有数の歴史と伝統を持つ中高一貫の男子校です。戦後、文部大臣を務めた後、獨協中・高の第13代校長となり、後に獨協大学を創設した天野貞祐は、教育理念に「学問を通じての人間形成」を掲げ、教養と理性を重視した教育を行いました。この理念は現在も同校に受け継がれています。

 この日の説明会で、校長の上田善彦先生は、こうした獨協の沿革を紹介した後、同校がめざす人間教育に触れ、「その一環として、中学生にはコミュニケーションの基本である『きちんとしたあいさつ』の大切さを常に伝えています。また、学習だけでなく人間関係を学ぶ場であるクラブ活動への積極的な参加を促しています。体力・気力を養って、先輩・後輩と関係を築くことが、将来の人間形成につながると考えています」と述べました。

 次に、副校長の坂東広明先生が教育全般について説明しました。同校では6年間を成長段階に応じて2年ずつの3ブロックに分けています。最初の中1・2の2年間は「基礎学力養成期」と称し、自学自習の習慣づけを徹底しています。そのために利用しているのが、自分でスケジュール管理を行うための「獨協手帳」です。教員は、時間管理の仕方やノートの取り方を指導し、自立した学びを促します。また、学習の遅れが目立つ生徒へのフォローとして、指名制の補習を行う一方、発展的な学習を希望する生徒には講習を実施し、学ぶことへの興味・関心を引き出していきます。

 中3・高1は「学力伸張期」と位置づけ、論理的思考力を伸ばします。そのために中3で取り組むのが「研究論文」です。テーマ選びから調査・研究まで1年かけて取り組み、論理的思考力を養うのが狙いです。このほか、蔵書・資料数約8万点の図書館を利用した「読書会」、周辺の文教地区ならではの史跡を巡る「獨協周辺文学散歩」なども行い、教科を超えた学びを実践しています。そして高2・3は「学力完成期」です。高2までに高校内容を学び終え、高3では演習中心の授業を行います。大学受験を念頭に選択授業が多数開講され、生徒は自分の希望する進路に沿って学習を進められます。

 グローバル教育に力を注いでいるのも同校の特徴の一つです。英語は、週6コマのうち2コマを、運用練習を繰り返すアウトプットの時間に充て、中2からはオンライン英会話を受講させています。このほか、創立時からドイツ語教育にも注力しており、中3からはドイツ語を第二外国語として学習できます。履修者は、ドイツに短期留学できるチャンスもあります。また、イギリスホームステイ(中3・高1の希望者対象)、ハワイ修学旅行(高2)、アメリカ初の国立公園・イエローストーンを巡るサイエンスツアー(高1・2の希望者対象)、ドイツ研修旅行(中3~高2の希望者対象)といった海外研修プログラムも豊富です。

 一方で、「環境教育」にも注力しています。敷地内には屋上菜園、ホタルが生息するビオトープ、40種以上の広葉樹が並ぶ「獨協の森」などがあり、環境への興味と関心を養う機会を持たせています。これらはすべて、中1から高2までの有志で構成される「緑のネットワーク委員会」が作り上げ、管理しているものです。この委員会では、小学校に出向いて、児童に対して環境に関する指導などを実施する「ファシリテート活動」も行っています。

 2021年度に、同校と獨協埼玉高校の卒業生を対象とする「系列校推薦枠」が新設され、獨協医科大学医学部への推薦入学も可能になりました。今春は、卒業生6名がこの制度を利用して進学しています。同校では通常の学習やキャリア教育でも高大連携を行っており、獨協医科大学の教員による講義・講演や、獨協大学の留学生との交流会なども実施されています。

イメージ写真 東京メトロ有楽町線・副都心線の駅から徒歩圏で、JR山手線「目白」駅からは都営バスも利用できるなど、アクセスは良好。運動施設も整っており、グラウンドはアーチェリー場を備えた体育館の屋上にあります

www.dokkyo.ed.jp 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ