受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

逗子開成中学校

2024年7月12日(金)

「考えさせる教科教育」で主体性を、「海を利用した海洋教育」で協同する力を育む

 逗子開成は、教育者の田邊新之助によって1903年に創立された、神奈川県で最も歴史の古い男子進学校です。校名の「開成」は、中国の漢詩の一節「開物成務(かいぶつせいむ)」を由来としています。「人間性を開拓し、自己を啓発して人としての務めをなす」という意味を持つこのことばは、同校の建学の精神としても採用されています。

 この日の説明会の冒頭、あいさつに立った校長の小和田亜土先生は、「主体性の育成」「協同性の育成」という同校の教育方針について話しました。「主体性の育成」とは、生徒がみずから積極的に学ぶ力を意味しています。そのための取り組みの一つに、オリジナル手帳の活用があります。中1~3は、「学習の手引き」という手帳に、毎日予定を書き込み、確認します。そうすることで、学校生活の見通しを立てる練習をするのです。そして、高校で自分に合った方法で自己管理ができるように、中学段階でホームルームの時間を使って、しっかり指導していきます。また、授業では「考えさせる」ことを重視しており、いずれの科目でも、自分で考え、試行錯誤しながら検証する過程を繰り返し、反省的思考力・批判的思考力・科学的思考力を養っていきます。

 一方、「協同性の育成」とは、他者の存在を受け入れ、共に学ぶ力です。そのための柱となっているのが、キャンパスのすぐ前に広がる逗子湾を利用した海洋教育です。中1~3で行う「ヨット製作と帆走」と「遠泳」は、同校で1980年代から継続している伝統ある取り組みです。ヨットはグループの共同作業で、丸1年かけて組み立てます。そして、自分たちで組み立てたヨットを使って、3年間で4回のヨット帆走実習を行います。浜から海までは、生徒全員で協力してヨットを運びますが、沖へ出たら、1人で判断し、1人で操作しなければなりません。こうした経験を通して、主体性に加えて、協働・協同する力や対話力、他者を感受する力を養っていきます。

 一方、「遠泳」では、中3の7月に、逗子湾内で1.5kmの遠泳に挑戦します。約50分間、互いに声を掛け合いながら泳ぎ切った後は、普段の生活では味わえない達成感が得られるといいます。小和田先生は「中学に入学した時点で、泳げない生徒が4割程度いますが、泳げないお子さんこそ入学してほしいと考えています。中1から体育の授業では泳力別の水泳指導を行い、段階的に泳力を高めていきます。必ず習得できるようになるので、ご安心ください」と強調しました。

 授業以外の活動も盛んです。「土曜講座」では、知的好奇心を大切にし、主体的に幅広く学び続けることを目的とした多彩な講座が開講されています。青銅鏡づくりや保育士体験、マウスの解剖など100種類以上の講座が用意され、生徒が自由にいくつでも選べるのが特徴で、学年を超えた出会いなど、新しい人間関係づくりのきっかけにもなっています。

 小和田先生は「本校での6年間を通して、自分のことだけでなく、地球規模で環境のことを考えられる人になってもらいたいと考えています。今後も、創立130周年に向けて、伝統を生かしながら新たな発展をしていきます」と述べました。

 2025年度入試については、教頭で入試委員長の小西信行先生が説明しました。変更点としては、①帰国生入試の出願資格を変更したこと、②複数回出願して入学した際は、未受験分の出願料を返金すること、の2点が発表されました。詳細は募集要項をご確認ください。小西先生は「各科目の得点率65~70%をめざして、最後まであきらめずに取り組んでください」と結びました。

イメージ写真 水泳の授業が行われる屋外の温水プールは、5月から10月まで利用可能。別棟の海洋教育センターには、ヨットを組み立てる作業場や宿泊施設も併設されています

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