受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

森村学園中等部

2024年7月6日(土)

「イノベーションマインドプロジェクト」で次世代に必要とされる三つのスキルを磨く

 建学の精神に「独立自営」を掲げる森村学園は、幕末から明治・大正期にかけて日米貿易の先駆者として活躍した実業家・森村市左衛門によって1910年に設立されました。それ以来、「仁徳を備え、自らの力で人生を切り拓き、世界の力、社会の力となる人の育成」という教育理念の下、未来を見据えた学びを実践してきました。横浜市緑区の長津田には、幼稚園から高等部までを擁する広大なキャンパスがあります。そこにはさまざまな植物が自生し、生徒の伸び伸びとした学校生活を支えています。

 説明会の冒頭、校長のブレット・マックスウェル先生は「これから訪れるAIの時代には、知識量や暗記力ではなく、その人の持つ“人間的価値”が問われることになります」と述べました。そのうえで「どんな未来が訪れようと、子どもたちには健康で充実した人生を送ってほしいものです。そのために本校では、生徒に確かな学力とコンピテンシー(優れた成果を創出する能力)を授けなければならないと考えています」と語りました。

 その代表的な教育活動が「イノベーションマインドプロジェクトです。入試広報部長の浅沼藍先生の説明によると、このプロジェクトは創立者の森村市左衛門をロールモデルに、これからの社会で必要な「アカデミックマインド」「グローバルマインド」「テクノロジーマインド」を身につけるため、3年前にスタートしたものです。まず、「アカデミックマインド」を磨くために力を入れているのが、同校が12年前から取り組んできた「言語技術」の授業をブラッシュアップした「ランゲージ・アーツ」です。論理的な要約・分析・ディベートなどができる、ことばの技術を習得するための時間として、中等部のすべての学年で、週2時間の連続授業として設定しています。この授業で学んだことは、英語や数学などの教科学習やプレゼンテーション、探究学習といった諸活動にも応用できるとして、浅沼先生は「思考の順序を学んだ経験が物事を正確にとらえるのに役立った」「文系か理系かを問わず、卒業後も活用できる学びだと思う」など、生徒から寄せられたアンケートの回答を紹介しました。

 一方、「グローバルマインド」を養うのが英語教育です。中1・2では、4技能の基礎を身につける「通常ルート」と、英語の学習経験を継続しながら、生活言語から学習言語への発展を目的とする「EEルート」という、二つの授業を行っています。「EEルート」の特徴は、課題解決型のオールイングリッシュ授業であることです。また、オンラインでアメリカの高校の授業を受けることで、同校卒業時に日米二つの卒業証書を取得することができる「US Dual Diploma Program(USDDP)」も導入しています。浅沼先生は「今までに6名の生徒がDDPを利用し、国内・海外のトップ大学に進学しています」と話しました。

 「テクノロジーマインド」では、生徒全員がノートPCとしてもタブレットとしても使える2in1PCを所有し、コミュニケーションや学習のためのツールとして活用しています。ICTを活用した外部コンペティションにも積極的にチャレンジしており、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として行われたお茶の水女子大学湾岸生物教育研究所主催の「全国一斉ウニの発生体験」では、同校から応募した全13作品のうち、11作品が入賞したそうです。

 浅沼先生は続いて、進学実績について説明しました。今春は、現役大学進学者のうち国公立大学、早慶上理、GMARCH、医学部医学科への進学が52.9%を占めたとのことです。芸術系・スポーツ系の学部に進んだ卒業生もいるとして、多彩な進路実現が可能であることをアピールしました。

 最後に、教頭の小澤宗夫先生から入試の説明がありました。同校の一般入試は2科4科の選択制ですが、受験生の努力を多角的に見たいという理由から、4科を選択した場合も、4科の合計得点を200点満点に換算したものと、2科(国算)の合計点のどちらか高いほうを合否判定に用いることが伝えられました。2025年度の要項は8月末に発表される予定です。

イメージ写真 中高生ともに利用できるカフェテリア。黒い椅子は高等部生、白い椅子は中等部生と、椅子の色によって座る場所を分けています

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