受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

洗足学園中学校

2024年6月29日(土)

挑戦と失敗から得る学びを通して、不確実性の高い時代を生き抜く思考力・人間力を養う

 洗足学園は、敬虔なクリスチャンであった前田若尾先生により「女性も自立すべきであり、そのための学びが必要」という考えの下、関東大震災の翌年である1924年に設立され、今年で100周年を迎えます。自宅に開いた私塾からスタートした小さな学園ですが、現在は幼稚園から大学・大学院までを擁し、5000人以上が通っています。

 この日のオンライン説明会で、校長の宮阪元子先生は「本校は100年の歴史があるからこそ、建学の精神を守りながらも、変えなくてはならないものがある」と述べ、学園の教育方針について説明しました。

 学びの特徴としては、高2で文系・理系に分かれますが、文理のいずれかに偏らないカリキュラムが組まれています。これには、生徒一人ひとりの将来の選択肢を広げるとともに、さまざまな挑戦のハードルを下げるという目的があるそうです。また、挑戦を促すために、生徒たちには「6年間で経験するすべてのことに学びがある」と伝え、学校行事の企画・運営を任せています。宮阪先生は「生徒たちは6年間のなかで何かにチャレンジし、たとえ失敗したとしても、『挑戦できた』という大きな達成感に包まれます。その一方で、『見守ってもらえた』という喜びを感じ、それを次の世代に伝えようとする使命感が生まれます」と語りました。部活動にも9割以上の生徒が参加し、かけがえのない時間を過ごしています。特に「洗足学園中学高等学校フィルハーモニー管弦楽団」が人気で、中1から高2まで200名近くが在籍し、本格的に活動しているそうです。

 最後に、宮阪先生は校内のカフェテリアの壁にも書かれている「Let's」の意味を説明しながら、「生徒には持てる力を最大限に発揮し、社会に貢献してほしいと願っています」と締めくくりました。

 続いて、入試広報責任者の玉木大輔先生が教育内容について詳しく説明しました。キーワードとして、「VUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity=予測困難な未来)の時代」と「Society5.0(情報化による仮想空間と現実空間を融合させた社会)」の二つを挙げた玉木先生は、「物事の不確実性が高く、将来の予想が困難なVUCAの時代に、本校では、自分自身で答えを考えていく力を身につけるためのカリキュラムを編成しています。人間にしかできない能力が求められる社会において、想像力を鍛え、深く思考して0から1を生み出す能力・態度・思考を身につけるため、主体的で深い学びを行っています」と述べました。

 その具体例として、玉木先生が挙げたのが理科の授業です。実験ではPDCA(Plan, Do, Check, Action)サイクルを取り入れています。成功や失敗の原因を探るところから課題を設定し、情報収集・整理・分析・表現までのプロセスに取り組み、次の実験に挑むのが一連の流れです。なお、すべての授業は生徒自身が考え、発表をするまでの時間を考慮し、1コマを65分としています。そのため、1日5コマの週6日制をとっています。

 また、同校では、生徒のコンピテンシー(仕事で成果を出す人に共通する行動特性)を高めようと、クラブ活動や生徒会活動を重視し、協働力・統率力・自己肯定力の向上を促しています。独自の取り組みとして行っている、答えのないテーマに向き合う「哲学対話」では、「さまざまな事柄に常にアンテナを張り、考え続けることができます」と説明しました。

 最後に、近年、大学入試で総合型選抜が拡大している点を踏まえ、「本校では、中高生活をどのように過ごし、何を手に入れ、何を残し、どんな可能性を持っているかを小論文などできちんと発表・表現できるようになるための万全の対策を整えています。もちろん一般入試においても、生徒が希望する進路を実現できる指導体制をとっています」と述べ、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 川崎市高津区にある、洗練されたデザインの校舎。最新の映像・音響設備を備えた大講堂や人工芝の校庭など、充実した教育環境が整っています

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