受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

鷗友学園女子中学校

2024年6月12日(水)

創立以来「慈愛と誠実と創造」のスピリットを受け継ぎ、「タフ」で愛ある女性を育成

 1935年、東京府立第一高等女学校(現在の都立白鷗高等学校)の同窓会である鷗友会によって設立された鷗友学園は、創立以来、「慈愛(あい)と誠実(まこと)と創造」を校訓に掲げ、世界で活躍する女性を育成しています。

 説明会の冒頭、この4月に校長に就任した柏いずみ先生は、東京府立第一高等女学校の校長だった創立者の市川源三が説いた「女性である前にまず一人の人間であれ」「社会の中で自分の能力を最大限発揮して活躍する女性になれ」という教育理念について説明しました。そして、市川の後継者である石川志づが第二次世界大戦中も英語教育を続け、「国際社会で活躍する女性の育成を志したこと」「全人教育を心の教育の基盤としたこと」などに触れ、「本校は2人の教育者が育んだ『鷗友スピリット』を今後も受け継いでいきます。さらに今年から、校訓の『慈愛と誠実と創造』に『タフ』ということばを加えました。先の見えない現代では、タフに生きていかねばなりません。そして、本校では、人々から共感を得られるような『愛ある人』を育てることをめざしています」と力強く述べました。

 「タフ」を意識した取り組みもあります。たとえば、高1になった初日、クラス分けの確認をすると、そのままバスで箱根での2泊3日の宿泊研修に向かいます。この研修では、高校進学式や親睦会、プロジェクトアドベンチャーなどやるべきイベントは決まっていますが、具体的なイベントの進め方や部屋割りなどは出発時点では決められておらず、生徒たちに委ねられているのです。それでも生徒たちはしっかり進めていきます。「中学ではしっかりと手をかけ、成長に応じて、少しずつ自立心を育てています。その成果でもあります」と柏先生は話します。こうした「鷗友スピリット」の継承者として、映画プロデューサーや難民支援などで活躍する卒業生を紹介し、話を締めくくりました。

 次に、入試広報部長の若井由佳先生が学校生活について紹介しました。同校では、クラスや学校に自分の居場所を見つけられるように、中1では1クラスを約30名という少人数で編成しています。また、人間関係が固定しないよう、3日に1回席替えを行っています。「こうして多くの生徒とコミュニケーションを取る経験を積むと、生徒たちは、グループワークなどでは『誰と組むか』より『何をしたいか』を重視するようになります」と若井先生は言います。さらに、『自分も相手も尊重する』という心理カウンセリングの手法である「アサーショントレーニング」も取り入れ、コミュニケーション力をより向上させているそうです。

 学習面では、「自律した学習者」を育てるために、中1・2は課題の提出を厳守するよう指導し、学習習慣を定着させています。学年が上がっていくと、生徒が自発的に進めるようになるそうです。定評のある英語の授業は「英語を英語で理解する」という教育方針の下、20年以上前からオールイングリッシュで展開しています。多読・多聴の機会を豊富に設け、中1から英語で意見交換をさせるなどして、発信力を伸ばしています。

 グローバル教育にも熱心に取り組んでおり、韓国のハナ高校との交換留学や国際シンポジウムへの参加、多彩な海外研修など国際交流の場が豊富です。このほか、大学や企業、卒業生とのコラボレーション企画など、外部とのつながりを通し“好きを見つける機会”をつくっています。

 最後に、教頭の福井守明先生が来年度の入試について説明しました。それによると、算数の出題形式に一部変更があります。小問集合の問題数を増やし、小問集合と記述式問題との割合を1対1にするそうです。ただし、出題傾向が大きく変わるわけではないとのことです。そして、最後に「本校では入試を2回実施しています。2024度入試では、第2回入試の合格者のうち49%が第1回不合格者の再チャレンジでの合格でした。第1回と比べ、100点以上も得点を上げて合格した受験生もいます。がんばってください」とエールを送りました。

イメージ写真 敷地内には、所蔵数約5万冊の図書館、5室の理科実験室など多彩な施設が備わっています。中1と高1は園芸の授業が必修で、校内の実習園を利用します

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