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学校説明会レポート
恵泉女学園中学校
2024年6月25日(火)
「聖書」「国際」「園芸」を柱とした教育によって、平和な社会を支える人を育てる
1929年に恵泉女学園を創設した河井道は、新渡戸稲造の勧めで、津田梅子が学んだアメリカのブリンマー大学に留学しました。帰国後は女子英学塾(現在の津田塾大学)の教授を経て、日本YWCA設立活動にも尽力した女性です。その思いを受け継ぐ同校では、「キリスト教信仰に基づき、神と人とに仕え、自然を慈しみ、世界に心を開き、平和の実現のために貢献できる女性を育成する」ことをめざしています。学校は小田急小田原線「経堂」駅から徒歩12分の閑静な住宅地にあり、校門から入って左手には、生徒が園芸の授業で耕す畑が広がっています。
この説明会では、OGでもある校長の本山早苗先生が同校の教育の柱である「聖書」「国際」「園芸」について紹介しました。まず、「聖書」の学びでは、その教えや、生徒が日ごろ考えていることをテーマにみんなの前で話す「感話」などを通じて、自分はどう生きるべきかを考えます。この感話は、生徒全員が持ち回りで、年に3回ずつ述べます。「感話は、本校の教育のベースとなっているものです。自分の考えを自分のことばで話せるようになるほか、同級生の感話を聞くことで、他者を理解し受け入れる姿勢も養われます。高3では原稿用紙8枚ほどの文章を書く生徒もおり、『大学入試や就職活動でも非常に役に立った』と、多くの卒業生が話してくれます」と本山先生は解説します。また、一人ひとりの「考える力」を尊重する姿勢を反映して、同校には制服がありません。生徒たちは毎朝TPOに合わせて服装を選び、校章をつけて登校するのです。
「国際」の学びでは、多様性を受容する力を身につけます。「英語は、平和な世界を底支えするためのコミュニケーションツール」という位置づけで、中学ではあえて習熟度別クラスは設けず、検定教科書とオリジナル教材を使って、小テストを繰り返しながら確実に基礎を固めていきます。そして、中3以上の生徒が予選に参加する英語スピーチコンテストを開催したり、高1からは英文エッセイを書く授業などを定期的に実施したりしながら、着実に発信力を高めていきます。希望者を対象とした国際交流プログラムも豊富で、夏休み期間中にアメリカ、カナダに2週間行く短期留学、12月までに進級条件をクリアした高1・2が1月から3か月間留学する中期派遣留学、6日間のシンガポール訪問プログラム、海外留学生を校内に招いてのグローバル・スタディーズ・プログラムなどがあり、国際的視野を広げるきっかけとなっています。
そして、三つ目の「園芸」では、仲間とともに命を育てる体験を通じて、さまざまなことを学びます。中1・高2は週2コマの必修授業で畑を耕し、中2は山梨県の清里でのファームワークで酪農を体験します。五感を使って自然の恵みを知る体験は「労働と食」「自然との共生」「環境問題」などを考えるきっかけになっており、農・畜産・獣医・薬・環境などの学部・学科に進学する卒業生も多いそうです。
理系分野への興味を刺激する機会も数多くあります。グループごとに決めたテーマで実験・分析・結論発表に取り組む「探究実験」や、専門家の指導の下、継続的な実験や観察に挑む「課外サイエンス・アドベンチャー」など、主体的な学びに導く取り組みが実践されています。その結果、卒業生の3割以上が工学系を含む理系分野に進学しています。
もちろん、進路指導に当たっては、文系や芸術・体育系などへの進学希望者もきめ細かくサポートしています。クラスは文系・理系で分けず、各自が必要な科目を選択して入試に対応します。高3では年6回以上の面談が行われます。生徒は多様な講習、小論文・面接の個別指導などを受け、それぞれが希望する進路の実現をめざします。夜7時まで利用できる自習室にはメンターとして現役の大学生が4人以上常駐し、学び方や進路選択について相談に乗っています。本山先生は「自分を大切にしながら他者への共感力を持ち、一人ひとりが自身の光を輝かせて育ってほしいと願っています」と結びました。
中庭の「泉」は学園のシンボルです。創立者のメッセージが刻まれた水盤のデザインは、2003年(高校30回生)卒業のアーティスト・長澤伸穂さんが制作しました
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