受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

共立女子中学校

2024年6月20日(木)

伝統と革新を兼ね備えた校風の下、高大連携を生かしたサイエンス教育を展開

 建学の精神に「女性の自立と自活」を掲げる共立女子中学高等学校は、1886年に創立された共立女子職業学校から発展した女子伝統校です。校名の「共立」は、実業家や教育者など34名の先覚者が発起人となって学校を立ち上げた経緯を表しており、創立以来、異なる価値観を受け入れる寛容な校風が受け継がれています。

 説明会の冒頭、同校の卒業生でもある校長の前田好子先生は「本校は創立から138年という歴史のなかで、約4万人の卒業生を世に送り出してきた伝統校です。価値あるものは次世代に継承しつつ、時代の流れに合わせて、変えるべきものは変える、そうした柔軟な姿勢で、わたしたちは教育に取り組んでいます」と述べました。

 同校の特色の一つは、1学年が約320名という大規模校であることです。前田先生は「東京一出会いの多い女子校(Encounter the Most Opportunities)」というキャッチフレーズを用いて「さまざまな個性を持った友人、先輩、後輩のなかで、自分らしく過ごし、お互いを理解し、尊重する姿勢が身につく環境です」とアピールしました。また、共立女子大学の履修科目「リーダーシップ開発」のエッセンスを授業に取り入れ、自分の強みを集団に生かす「共立リーダーシップ」の獲得に力を入れていることを紹介し、「校訓である『誠実・勤勉・友愛』の下、『関わる力』『動く力』『考える力』『解く力』の四つの力を磨き、共立リーダーシップを発揮して人生を切り開く女性を育てたいのです」と力強く語りました。

 続いて、広報部副主任の菊地裕文先生が学校概要について説明しました。日々の授業では、すべての教科でアクティブ・ラーニングを実践し、全員がタブレット端末を所有して、資料作成やプレゼンスキルの向上に励んでいるとのことです。また、日本文化の理解も重視しており、中学では隔週で「礼法」の授業を行っているほか、希望者を対象とした華道(草月流・小原流・池坊・古流)の課外講座も開講しています。クラブ活動も活発で、加入率は中学で95%、高校で90%に上るそうです。なお、規模の大きな学校であることから、教育の柔軟性に不安を抱く保護者も少なくないそうですが、菊地先生は「本校には170人の教員がおり、クラスを分割した少人数授業で、生徒の理解度に合わせたていねいな指導を行っています。どうかご安心ください」と説明しました。

 次に、理科の教科主任を務める坂本彩子先生が登壇し、同校が力を入れるサイエンス教育について紹介しました。理科の授業は中学では週に4コマ実施されており、そのうち約半分を実験に充てています。さらに高1になると週6コマ、高2は週8コマ、高3は週10コマ(高2以降は理系選択の場合)と、学年を追うごとに授業時間が増えます。特に高3では「教科書に載っているすべての実験を体験する」を目標に、週2コマを実験に費やします。「座学だけで終わるのではなく、実際に実験で手を動かした経験は、大学入試において大きな武器になります」と坂本先生は言います。そのことばを裏付けるように、近年では理系学部への合格実績が好調で、毎年、たくさんの卒業生が国公立大学の医学部医学科を含めむ医療・保健系学部や、理工系学部に進学しています。

 2022年度からは東邦大学理学部と高大連携協定を結び、大学レベルの実験や研究がより身近になりました。大学所有のPCRサーマルサイクラーを用いて、頰の裏の組織からアルコール耐性を調べるバイオテクノロジー実験講座や、コードを書いてキャラクターを動かすプログラミング講座など、どの活動も本格的です。坂本先生は「本校では体験や実験を多く取り入れ、理科を好きになってもらえるような工夫をしています。サイエンススキルを身につけ、希望進路につなげてもらえたらうれしいです」と結びました。

イメージ写真 昨年度リニューアルが完了したばかりの化学室。局所換気システムを導入し、より安全に実験ができるようになりました

www.kyoritsu-wu.ac.jp/chukou/ 別ウィンドウが開きます。

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