受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

麻布中学校

2024年6月10日(月)

「問い」を通じて理解を深め、「真実」を発見する授業を展開

 「自由闊達」な校風と「自主自立」の精神で知られる麻布中学校・高等学校は、「生徒たちに知的刺激を与え続けること」を教育のテーマに掲げる男子伝統校です。

 SAPIX代々木ホールで開催されたこの日の説明会は、サピックス教育情報センター本部長の広野雅明先生による入試説明から始まりました。「麻布の入試では思考力・記述力が求められますが、合格力判定サピックスオープンのデータを分析すると、4科の基礎学力を固めることが大前提であるとわかります」と述べ、「6年生の12月から1月が最も学力が伸びる時期です。入試当日に実力を発揮できるよう、併願校の検討も含めて十分な準備をしましょう」と呼びかけました。

 次に、校務主任の松田隆先生からは、学校生活と教育内容について説明がありました。松田先生は「本校の入試は確かに難しいです。しかし、入試問題は、本校でふだん行われている授業そのものなのです」と強調しました。「授業が始まる前、生徒たちはまだ何も理解していませんし、答えも知りません。それでも、教師が投げかけるさまざまな『質問』をきっかけに知識を整理し、知らなかったことや気づいたことを洗い出して、理解を深めていきます。入試も同じです。投げかけられた問いをきっかけに、じっくり考えて理解を深め、推測しながら、問題を解く前には気づかなかった『真実』を発見してほしいのです」と話しました。そして、「入試問題のリード文は、授業における教師の説明と同じです。全体の流れを決めるもので、解答のヒントにもなっています。明らかにリード文をしっかり読んでいないケースが見受けられるのは、非常に残念です。授業も入試も、すでに教わったことを確認するものではなく、新しい気づきを得るためのものなのです。わたしたちは、麻布の入試問題を解いてみて『おもしろい!』と思ってくれるような生徒、学問のおもしろさに気づき、社会の謎にチャレンジしていく知的好奇心の旺盛な生徒を待っています」と繰り返し強調しました。

 また、同校の入試はなぜ記述中心なのか、どのように学んでいけばよいのかという点についても話がありました。スライドに犬の写真を投影し、「この写真について説明を求めると、多くの小学生は『犬』と単語で答えます。しかし、記述で要求されるのは、単語ではなく文章で表す力です」と説明しました。写真を見ていない人が頭の中で同じイメージを再現できるくらい詳しく、「茶色くて幼い柴犬が」「舌を出しながら」「青々とした緑の草原を」「喜んだ様子で」などと、一つひとつの要素を細かく描写することの重要性を語りました。「高3の生徒たちにも、授業でまったく同じことを伝えています。これは大学受験にも通じる力です。中学受験生の皆さんも、少しでも平均点を上回れるよう、記述問題を解く際は『解答すべき要素をもう一つ増やせないだろうか』と考えてみてください」と、受験生に向けてアドバイスを送りました。

 最後に、同校では実体験・実技を最も重視している点に言及しました。「生徒たちは、世界各国の名門校に通う同世代との交流を通じて多様性を認め合っています。また、クラブ活動や行事など、日々の経験を重ねていくなかで、自分自身の好きなことだけに夢中になるのではなく、『他者にも楽しんでもらえること』に打ち込んでいます」と述べた松田先生は、「人生において、『最高の自分』を実現するための準備をしているのが、麻布学園です」と語り、説明会を締めくくりました。

イメージ写真 約8万冊の蔵書を備える図書館や、地下1階・地上4階建ての体育館など、施設面も充実しています

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