受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

愛光中学校

2024年5月25日(土)

深い知性と高い徳性を兼ね備えた「世界的教養人」を育てる

 カトリック聖ドミニコ修道会を設立母体とし、1953年、愛媛県松山市に開校した愛光中学・高等学校は、「愛(Amor)と光(Lumen)の使徒たらんこと」を信条に、深い知性と高い徳性を身につけた「世界的教養人」の育成を目標に掲げています。全国屈指の男子進学校として長く知られてきましたが、創立50周年にあたる2002年度に男女共学校となりました。

 SAPIX代々木ホールで開催されたこの日の説明会は、松山空港から車で約10分の立地にある同校のキャンパスの紹介から始まりました。創立70周年記念事業として2021年に完成した新校舎は、中庭を中心とする二つの輪が8の字型に連なる特徴的な設計で、緑と光が調和する開放的な雰囲気です。「人工芝のグラウンド、柔道場を併設した体育館、弓道場などスポーツ施設も充実させました。約7万8000冊の蔵書を収める図書館の2階には、さまざまな鉱物や隕石・化石・剝製・恐竜の骨格標本などを展示する自然科学資料室が併設されていて、生徒たちに人気があります」と広報主任の西村先生は説明しました。構内には男子寮も併設され、全国各地から入学した約500名の生徒が共同生活を送っています。

 続いて、「深い知性」を養うための取り組みについて説明がありました。同校では6年間を3ブロックに分け、最初の2年間で中学の学習内容をほぼ終えて、中学3年からは高校の学習内容に入ります。そして、高2からは大学受験を視野に入れた演習中心の授業に移行します。「中1・2では基礎学力および学習習慣の定着を徹底させていきます。この二つを身につけておくことが、高校課程での学力完成、大学進学に向けての応用力・情報活用能力の向上へとつながるからです」と西村先生は話します。さらに高3では生徒の志望に合わせて少人数制、コース別、習熟度別などの授業を組み合わせていくとのことです。各教科の授業は、最新のICTを活用するものもあれば、教科書や書籍といった従来の教材を使うものもありますます。中学では貸与されたiPadを、高校では1人1台ずつ購入したタブレットPCを利用して、各種アプリを活用した学びによってICTスキルを高めていきます。

 進路については、高2で文系・理系に分かれますが、近年の傾向は「7割程度が理系志望で、さらにその半数以上が医学部をめざしている」とのことです。この春は既卒を含め、東大12名をはじめ国公立大学に161名が合格しており、そのうち医学部医学科は66名という高い実績を誇っています。

 一方、「高い徳性」はキリスト教精神に基づいて行われる行事や課外活動を通じて体得されます。週に一度の宗教の時間は「CLE(Christian Life Education)」と呼ばれ、理事長のホアン・ベルモンテ神父が聖書を用いて「生命」について深く考える授業を行います。西村先生によると「毎日の礼拝はありませんが、学園関係の亡くなった方の追悼会やクリスマス祝会などがあり、キリスト教文化を身近に感じる環境です」とのことです。

 聖ドミニコ修道会のルーツをたどるヨーロッパ研修旅行、ホームステイを伴う英語語学研修(カナダ)など、希望制の国際交流プログラムも充実しています。聖ドミニコの姉妹校である台湾の道明(タオミン)中学・高校との交換留学制度もあります。

 全校生徒の約3分の1を占める500人程の生徒が暮らす男子寮の様子は、中1・2が生活する中学生寮の写真とともに紹介されました。寮の門限は午後6時で、夕食・入浴を終えた後、午後7時15分から10時55分までは集団学習室での学習時間となっています。消灯時刻は午後11時15分です。自身も高校時代を寮で過ごした西村先生は「寮生活で得られるものは『自立心』『協調性』『一生の友人』『学習に取り組む集中力』の四つです。そしてなにより、甘えられない環境だからこそ芽生える親への感謝の気持ちです」と強調しました。

イメージ写真 運動系12、文化系15の部があり、加入率は9割を超えています。卒業生が指導に参加することも多く、ソフトボール・陸上・俳句・競技かるたなど、全国レベルで活躍する団体もあります

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