「共感力・グローバル力・学力」を柱に、非認知能力を磨く教育プログラムを実践

　磯江潤によって創立された京華学園は、1897年開校の京華尋常中学校、1901年開校の京華商業学校、1909年開校の京華高等女学校の3校体制を堅持しながら長い歴史を刻んできました。女子教育を担う京華女子中学・高等学校では「知を高め、視野を広げ、共感力をそなえた『21世紀型の賢い女性』を育成する」というスクールミッションを掲げています。

　この日のオンライン説明会では、初めに校長の塩谷耕先生が学校の概要を紹介しました。同校は中学校が1学年約60名の2クラス編成で、高校が1学年約140名の4クラス編成という小規模校です。塩谷先生は「近年は志願者数が大幅に増加していますが、生徒一人ひとりをていねいに見守っていくために、これ以上クラス数を増やす予定はありません」と述べました。

　同校では学力だけではなく、人としての力を示す「非認知能力」を伸ばすことを重視し、目的を達成する力、他者と協働する力、感情をコントロールする力を養う多彩な取り組みを行っています。塩谷先生はその一つとして、8月に同校で開催された「ダヴィンチマスターズ 夏休み探究フェスタ2023」を紹介しました。これは、子どもたちの非認知能力を高めるための文部科学省後援のイベントで、当日は約2500名の小学生が「水中のゴミをロボットで回収する」「教室にみんながつながる町をつくる」といった体験プログラムを楽しんだとのことです。

　続いて、同校の教育の3本柱である「共感力を育てる」「グローバル力を磨く」「学力を高める」について、詳しい説明がありました。

　共感力を育てる取り組みとして、全学年を対象としたさまざまなプログラムを行っています。茶道・華道・筝曲・伝統文化（礼法・着付け・日本舞踊）・書道などの多彩な講座を開講する「総合ゼミ」は、専門家の指導の下、じっくり学びながら感受性を磨く機会となっています。生徒自身が共生社会の一員であるという自覚を促す「ボランティアプログラム」、自然現象・科学・歴史・文化・政治に対する興味・関心を高める「校外学習」なども実施されます。SDGs（持続可能な開発目標）に関する活動を通して社会問題を自分ごととしてとらえる「Keika SDGs Program」や、学校説明会の企画から運営までを担う「Keika Seek CLUB」など、生徒が主体となって行うもので、中高6年間を通じてのクラブ活動や学校行事においても、人とつながる力や協働力を培っているそうです。

　グローバル力を高めるための英語の授業は、5名のネイティブ教員による指導を含め、週6～7コマ実施されています。また、「特別授業・放課後講座」として、英検_®講習、ネイティブによる英会話・中国語・フランス語の授業なども行われ、中3終了時には半数以上の生徒が英検_®準2級以上を取得しています。グローバル教育プログラムも豊富で、イングリッシュキャンプ（中1）、海外研修旅行（中3）を始め、オーストラリア夏季海外研修（中2～高2の希望者）、セブ島語学研修（高1・2の希望者）、ニュージーランド中・長期留学（高1・2の希望者）に参加することもできます。塩谷先生は「海外でさまざまな経験を重ね、生徒たちはコミュニケーション力や語学力はもちろん、失敗しても折れない心を身につけています」と話しました。

　学力については、生徒の性格や学習状況、希望進路を把握し、一人ひとりに向き合ったきめ細やかな指導を実施しています。双方向型の授業や高校での「探究」の授業で課題解決力を伸ばす一方で、大学受験に向けて特別講習や受験対策講座が開講されています。塩谷先生は「こうした学習によって、非認知能力のなかでも“GRIT（グリット）”と呼ばれる、目標に向かって粘り強くやり遂げる力を鍛えることができるのです」と強調しました。

　2024年度より、同校は京華中学・高等学校（男子校）と京華商業高等学校（共学校）があるキャンパスに校舎を移転し、多様性に満ちた「3校ワンキャンパス」が実現します。塩谷先生は、「一部のクラブはすでに合同で活動していますが、今後は男子との交流の機会も増えるでしょう。自己肯定感を高められる女子校の良さを大切にしつつ、別学と共学の“いいとこ取り”が可能になると考えています」と結びました。

※英検_®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

2022年に「京華学園創立125周年記念5号館体育館」が完成。建設中の新校舎には、現校舎の窓の形や基本的なデザインが受け継がれています

www.keika-g.ed.jp/