受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

法政大学中学校

2023年11月7日(火)

温かな人間関係のなかで中高大一貫教育を行い、主体的に学び、行動できる自立した人間を育てる

 法政大学中学高等学校は、1936年創立の旧制法政大学中学校が前身です。戦後、新学制による法政大学第一中学・高等学校になりました。三鷹市の現校地に移転し、男女共学化して現校名となったのは2007年です。法政大学の「自由と進歩」に基づく「自主・自律」の精神を教育目標に掲げ、中高大一貫教育により、世界と日本の諸問題を解決する自立した人間の育成をめざしています。

 オンラインで行われたこの日の説明会では、企画運営委員の松尾明子先生が教育内容や学校生活について説明しました。中学の入学定員は約140名ですが、高校からの入学者が加わると1学年が約232名となります。松尾先生は「法政大学の付属校のなかでは小規模であり、生徒同士や教員と生徒との距離が近く、アットホームな雰囲気です」と話しました。

 同校では生徒の成長に応じて3段階に分けた教育を実践しています。中1・2では、温かく安心できる人間関係を築き、基礎学力を獲得することに重きを置いています。中3・高1では基礎学力の定着に加え、自分自身を見つめ、他者への思いやりを育みます。そして、高2・3では社会に目を向け、みずから積極的にかかわり合う力を身につけていきます。松尾先生は「主要教科は授業数を多く確保し、学力の定着を重視しています。数学で先取り学習を行っていますが、大学受験対策が不要な分、思考力・表現力・協働力を養う授業を展開できるのが付属校の強みです」と述べました。

 年間を通して多彩な学校行事が行われているのも魅力です。この日は、その一例として、中学で学年ごとに行われている「12月行事」が紹介されました。都内の史跡を巡る中1の「東京ウォーキング」では、事前の調べ学習から事後の発表までをグループで行い、協働性を養います。中2の「フィールドワーク」では、社会で活躍する卒業生などにアポイントを取り、インタビューを行うなかで社会とのつながりを理解し、主体的に行動して学び取る力を身につけます。広島・長崎を訪問する中3の「修学旅行」では平和学習に重きを置いています。

 生徒が主体となって運営する「生徒会行事」も盛んです。なかでも、最も盛り上がる陸上競技大会(運動会)と鈴掛祭(文化祭)では、中学全学年が合同で委員会を立ち上げ、競技のルールや企画内容を決定し、中3が中心となって運営します。学年を超えたつながりのなかで自主性や実行力が養われるだけではなく、豊かな人間関係が生まれます。こうした学校行事の教育効果について、松尾先生は「生徒たちは行事運営を通して、授業では体験できない多くの学びを得ています。成功だけではなく、失敗もたくさん経験し、多くのことを学んでほしいと願っています」と語りました。

 高校では中学からの内部進学生と高校から入学した生徒との混成クラスが編成されます。主要5教科を共通教養として高校卒業まで履修し、文系・理系に分かれないのが特徴です。高2・3では豊富な選択授業を設定し、生徒が興味を持った分野を主体的に学び、知識を深めていくことが大学での学部選択につながるそうです。

 高校卒業後は例年、約85%が法政大学に進学しています。被推薦権は、ほぼ全員に与えられ、その権利を保持したまま他大学を受験することも一定条件の下で可能です。松尾先生は「本校では大学受験に向けたカリキュラムは組んでいないため、他大学進学者の多くが学校推薦型選抜や総合型選抜を利用します。なお、他大学の志望者が、法政大学にもある学士号を取得できる学部を受験する場合は、法政大学への推薦順位が下がることもあります」と付け加えました。

 最後に、入試について説明がありました。出題内容は標準的であるものの、問題数が多いのが特徴です。松尾先生は「標準レベルのさまざまな問題に触れておくといいでしょう。ケアレスミスが命取りになるので、対策をしっかり行ってください」とアドバイスを送りました。

イメージ写真 2007年に武蔵野市から三鷹市牟礼に校地を移し、共学校になると同時にカリキュラムも一新されました。生徒が主体となって、制服や校則を変えようと改革が行われています

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