受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

湘南学園中学校

2023年10月25日(水)

異文化を理解する多彩なプログラムが再始動。「湘南学園ESD」で豊かな人間力を培う

 神奈川県藤沢市にある湘南学園は、「子どもたちに豊かな教育を受けさせたい」と願う地元・鵠沼の有志によって1933年に設立されました。「個性豊かにして身体健全 気品高く 社会の進歩に貢献できる 明朗有為な実力のある人間の育成」という建学の精神の下、生徒の個性と主体性を尊重した教育を実践しています。

 この日の説明会では校長の伊藤眞哉先生があいさつに立ち、同校が推進する「湘南学園ESD」について説明しました。ESD(Education for Sustainable Development)とは、現代社会におけるさまざまな課題をみずからの問題としてとらえ、持続可能な社会の実現をめざす人を育てる教育のことです。同校では「持続可能な社会の創り手」の育成につながるすべての教育活動を「湘南学園ESD」と位置づけており、その軸に据えているのが、30年以上の歴史を持つ総合学習のプログラムです。伊藤先生は「学年が上がるにつれ、発達段階に応じたさまざまなテーマを設定し、生徒たちの視野を広げて豊かな人間力を育てます。まず、中1では自分も他者もかけがえのない存在であるという認識を培います。中2は身近な地域で、中3は生活圏とは異なる地域で、体験を通して人々と直接触れ合い、社会とのかかわりを学んでいきます」と述べました。高校生はSDGs(持続可能な開発目標)にかかわる全国的な問題や地球規模の問題にも目を向け、高3では外部から招いた社会人を相手に1対1でのプレゼンテーションに挑みます。

 ここ数年は新型コロナウイルス感染症の影響で休止していましたが、今年度から異文化への理解を深める多彩なプログラムが再び動き出しています。たとえば、中1の3月にはアメリカの非営利団体による3日間の「Heart Global ワークショップ」を実施します。キャストと英語でコミュニケーションを取りながら歌やダンスを習い、最終日に向けて学年全体で一つのステージを作り上げていくというものです。中2では3日間英語漬けになる「English Camp」で4技能のスキルアップを図り、中3は中学生活の集大成として全員がカナダ・バンクーバーでの海外研修旅行に参加します。伊藤先生は「湘南学園ESD」を1本の木にたとえ、「生徒たちがそれぞれの興味・関心に合わせて枝葉を伸ばし、自分らしく生きていけるように、土台となる根っこを育てていきたいと考えています。それが本校の教育目標です」と力強く語りました。

 次に、学習進学指導主任の石原正博先生が登壇し、「予測できない未来を生きる生徒たちにとって大切なのは、確かな基礎学力をつけたうえで自分の強みを持つことです」と強調しました。そのため同校では、中高6年間のうち、まず第1段階(中1・2)で基礎学力の前提となる学習習慣を身につけさせます。第2段階(中3・高1)では自分やキャリアについて見つめる時間を持ち、第3段階(高2・3)では具体的な進路目標を設定していきます。希望制の放課後学習会、小論文対策講座などを実施し、多様化する大学入試に向けてきめ細かく指導しています。また、中学の段階から大学と連携したキャリアプログラムを取り入れ、生徒一人ひとりが納得できる進路を選択できるようサポートしています。

 「食育」に力を入れているのも特徴で、その拠点となるカフェテリアの紹介もありました。保護者が立ち上げたNPO法人「湘南食育ラボ」が運営し、地元の安心・安全な食材を使った手作りのランチメニューが提供されているそうです。

 生徒が主体となり、仲間と教員を巻き込んで展開する「プロジェクト活動」も盛んです。現在、竹を再利用して製品化する「竹プロジェクト」をはじめ、福島原発事故による土壌汚染のために周辺地域で育てられなくなったひまわりを栽培する「ひまわりプロジェクト」、募金によりミャンマーの人々を支援する「ミャンマー支援プロジェクト」などが進められています。特にジェンダーを考えるプロジェクトでは、男子も対象にした生理セミナーを開催し、校内外から大きな注目を集めています。

イメージ写真 小田急江ノ島線「鵠沼海岸」駅または江ノ島電鉄「鵠沼」駅から徒歩8分。始業時刻は朝9時なので、余裕を持って登校できます。自転車で通学する生徒のために、専用の駐輪場も備えています

www.shogak.ac.jp/highschool/ 別ウィンドウが開きます。

ページトップ このページTopへ