受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

学校説明会レポート

神戸大学附属中等教育学校

2023年9月8日(金)

大学で学ぶための力を身につけ
グローバルキャリア人となる

 神戸大学附属中等教育学校は、神戸大学の附属中学校2校が統合して2009年に誕生しました。副校長の齋木俊城先生は、「中等教育学校とは、『中学校+高校』ではなく、初等教育段階と高等教育段階をつなぐ重要な学校です。大学に合格するための力ではなく、“大学で学ぶための力”を身につけることをめざしています」と説明しました。

 同校が求めるのは、主体的に自己および未来の社会を切り開くことのできる生徒です。国際的な視野を持ち、真理探究(本物に触れる)の精神に富んだ「グローバルキャリア人」を育成しています。「グローバルキャリア人とは、単に英語力があるだけではなく、相手を認めて向き合える人間です。多様性を尊重し、自己理解・他者理解につなげていく教育を重視しています」と齋木先生は続けます。

 続いて説明したのは、従来型学力と探究力の両方を身につけることの重要性についてです。「学習による従来型学力の高さだけで競争する時代は終わりつつありますが、探究力は、確かな従来型学力を基盤に身につけるものです。学習は探究のためにあり、探究は学習なしに存在しません。学習と探究を繰り返すことで未来をつくっていきます」

時代を超えて通用する
「新たな知を創造し発信する力」を育てる

 2020年度からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されている同校では、データサイエンス、科学総合、探究情報、ESD(持続可能な開発のための教育)などの学校設定科目が充実し、さまざまな研修会も実施されています。SSHのテーマとして掲げているのは「Education for 2070」。50年後、時代を超えて通用する力を身につけさせたいという思いが込められています。

 SSHの取り組みのなかで特に活発なのが、通称ASTA(アスタ)と呼ばれる「Advanced Science Technology Academy」の活動です。「ASTAは、興味のあることに対して自由に集まり、自由に研究する活動です。生徒たちに大好評で、放課後いろいろなことに夢中になっています」と齋木先生。「ASTAクイズ班」は、この説明会当日の夜にテレビで放送された『高校生クイズ』の決勝大会に出場しました。

 6年間一貫して重視しているのがリサーチリテラシー(探究の技法)の習得です。「見つける力」「調べる力」「まとめる力」「発表する力」とともに、その根幹となる「考える力」を身につけ、生徒全員が「Kobeポート・インテリジェンス・プロジェクト」という卒業研究(課題研究)に取り組みます。この課題研究のなかでも特徴的なのが、3年(中3)から6年(高3)までの4学年が同じ教室で学ぶ「協同ゼミ」です。下級生は先生だけでなく、先輩からも数多くのアドバイスをもらうことができます。また、先輩は後輩からの質問にしっかり答えるために、より深く学ばなくてはならないという意識が高まります。

 進路に関しては、総合型選抜や学校推薦型選抜での難関国公立大学への合格者が多く、協同ゼミに取り組んだ経験などが生かされているようですが、齋木先生は「大前提として、学力の土台がしっかり身についているので、一般選抜にももちろん対応できます」と強調しました。

イメージ写真

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